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「今年の西武は“投手の年”のサイクル?」「最下位脱出の中日は『任せて安心』の本格派右腕をドラ1で」ドラフト全指名予想《西武・中日・楽天編》
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/10/21 11:02
指導する亜大の監督も「任せて安心」と太鼓判を押す斉藤汰直(亜細亜大・182cm84kg)
これまで、地元・仙台にはそこまでこだわったドラフト人選をしてこなかった楽天だが、今年は大きな課題の近未来のクリーンアップ候補に、もってこいの適役が地元から現れた。2位・平川蓮(仙台大)は、これまで日本球界で例を見ない超大型スイッチヒッターだ。
右打席からは長打力、左打席からは巧みなバットコントロールでの広角打法が特徴のように見える。札幌国際情報高では投手も兼任していたが、仙台大でバッティングに専念するようになって、順調なカーブで精度も飛距離も上げてきた。
メジャーリーガーのようなサイズなのに、50m6秒をきる脚力で左中間も三塁打にでき、80m程度ライナー軌道で投げられる肩も実戦力が高い。動きのボディーバランスが良くて、一塁手、三塁手、外野手はすでに「OK」の守備力。いずれも、楽天が課題にしているポジションに違いない。
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ドラフト中位から下位で、早くから戦力化できる社会人投手を巧みに獲得するのは、もはや、楽天、オリックスの「お家芸」になっている。
森原康平(現・横浜DeNA)に始まり、弓削隼人、藤井聖に、昨年4位の江原雅裕……その流れが、今年の3位・谷脇弘起(日本生命)につながる。
145キロ前後の速球に、カーブなのかスライダーなのか独特のタテの変化に、スプリット、チェンジアップを丹念に低めに集め、そのうち打てると思わせて、いつの間にか試合後半まで1、2点に抑えてしまう。わからないように動かしているボールも、きっとあるはず。こういう投手が先発タイプなのだ。
大ケガがなければ1位指名も? 九州の大器
3年春の大ケガ(右ヒザ半月板損傷)がなければ……「たられば」になるが、ほんとに1位もあったはずの稲川竜汰(九州共立大)を4位指名だ。
1年時の大学選手権、「オレが投げずに誰が投げるんだ!」みたいな面構えとマウンドの支配感で、全国のリーグ戦を勝ち上がった強豪を向こうにまわし、怖いもの知らずの剛球には、誰もが「4年後のドラ1」と胸高鳴らせたものだ。
150キロライン出力可能なまでに回復と聞いている。スピードが戻れば、垂直落下のフォークが「魔球」と化す。
驚異の奪三振率を引っ提げて、今季後半、一軍リリーフ陣の一角に食い込んできた泰勝利投手(4年目)。その快速左腕を追撃できるか。5位・鈴木蓮吾(東海大甲府高)には、そんな期待をかけての指名だ。
県下1、2の強豪校で1年夏から背番号1を託された潜在能力の高さ。2年時に早くも150キロ近くに達し、スピードに目がくらんでバランスを崩した体験も、本人、きっと貴重な糧になったろう。
5位で選択終了。数は少ないが、内容的には濃厚な指名となった。
<巨人・オリックス・DeNA編へ続く>
