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「不満だ」ブラジル名将アンチェロッティが苦虫、メッシもドイツもボウ然…日本代表“じつは多い”W杯優勝国撃破「ただ親善試合なので」久保建英は冷静
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茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/10/15 17:01
逆襲のゴールにガッツポーズの南野拓実と、後ろで憮然とするブラジルのカゼミーロ。日本代表は「強豪相手の逆転劇」を近年頻繁に起こしている
〈ブラジル〉
2025年10月14日/○3−2(前半0−2)
日本が決定機を作るなど開始20分までの好ペースから一転、立て続けに失点を喫して2点ビハインドでハーフタイムに。しかし後半、前からのプレスに慌てたブラジルDFのミスで1点を返すと、森保監督は伊東を投入し、さらにチームを活性化。3枚替えでバランスが整わないブラジルの守備組織をついて中村敬斗の同点ゴール、セットプレーからの上田のヘディングシュートで大逆転に成功。サッカーデータサイト「FootyStats」によると「xG」と呼ばれるゴール期待値も「ブラジル1.18−1.80日本」と上回った。
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ここ15年間で着実に勝利をものにするとともに、特に森保体制下で、W杯優勝国の撃破が続いていることが分かる。それも“餌食”になったのはドイツのハンジ・フリック(2回)、スペインのルイス・エンリケ、そしてブラジルのカルロ・アンチェロッティと、名だたる強豪国と名将だ。さらに4試合中3試合で、前半の劣勢を後半にひっくり返している。これだけ再現性があれば、列強国に対する森保ジャパンの〈勝ちパターン〉と言ってもいいし、今回の大逆転勝利では「ゴール可能性が王国ブラジルよりも高かった」という客観的データまで出ている。
久保「ただ親善試合。慢心しないように」
W杯優勝経験国でまだ未勝利の相手はイングランドとイタリアだけ。イングランドとは2026年3月シリーズでの対戦が計画されているとの報道もあるだけに……日本代表への期待値は否が応でも高まるが、ミックスゾーンでの選手たちの対応は冷静だった。
久保建英はこのように語っていた。
「ただ親善試合なので、喜ぶのはいいですが、これで何か変わったわけではない。慢心しないようにしないといけないですね」
ファンとして思い出したいのはドイツW杯出場権を獲得した後の、2005年から2006年にかけてだ。コンフェデ杯でブラジルと、W杯開幕直前にドイツとそれぞれ2−2の引き分けに持ち込んだものの、W杯本番では2敗1分。最終戦ではブラジルに1−4と打ち砕かれた歴史がある。さらにはカタールW杯コスタリカ戦のように“意外と勝ち点3を取れない”W杯優勝未経験国との戦いをどう勝ち切るかなど、課題を解決できるかも含めて焦点は数多い。11月シリーズも地上波放送で見られるからこそ、サッカー日本代表に今再び、注目したい。〈サッカー日本代表特集:つづく〉

