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「ササキと信頼関係を築くのは時間がかかった」ドジャース関係者が重要証言…佐々木朗希23歳が復活したウラ側、投手スタッフ「下半身と肩を変えた」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2025/10/06 17:04
フィリーズとの初戦。佐々木朗希(23歳)は5-3の9回から登板。1回を1安打無失点で抑え、メジャー初セーブをマークした
メジャーリーグでは5月9日の登板を最後に、リハビリに入っていた佐々木。マイナーリーグで先発として復帰したのは、8月14日のことだった。しかし本調子には程遠く、5度の先発機会で18回と3分の2を投げ、奪三振は16個だったのに対し、12個の四球を与えていた。千葉ロッテ時代の制球力を思えば、なにかがおかしい。しかも、フォーシームの球速は90マイル半ばに過ぎなかった。
しかし、9月9日の先発としての最終登板のあとから、何かが起きた。佐々木はブルペンに転向を命じられ、9月18日と21日のタコマ・レイニアーズ戦(マリナーズ傘下)で2度リリーフとしてマウンドに上がった。
18日の試合では、スプリットとフォーシームで三振2つを奪った。21日には1イニングを投げ、わずか8球で三者凡退に抑えた(1三振。球種はスプリット)。球速が戻り、制球力(特にスプリット)が戻っていた。
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そこから球団の判断は素早い。「ブルペン 恐怖の館」に苦しんでいたから、メジャーリーグにコールアップし、9月24日のダイヤモンドバックス戦と、9月26日のマリナーズ戦でリリーフ登板させる。
「恐怖の館」をササキが救った日
ダイヤモンドバックス戦では13球を投げて2三振で三者凡退。マリナーズ戦では二塁打1本を許したが、こちらも2三振を奪う。
ただし、この2試合は7回裏での登板であり、まだ試運転だったと見ることができる。
佐々木が9回を任されたのは、ポストシーズンに入ってから。10月1日のワイルドカードシリーズ、レッズとの2戦目だった。
ドジャースは8対2とリードして8回表を迎え、楽勝ムード。ところが、ここから「恐怖の館」の開幕で、8対4と追い上げられた(4点目を取られてからも、なおピンチだったが、なんとかベシアが抑えた)。
そして9回に投入されたのは佐々木だった。
セーブ機会ではないからクローザーの地位が彼に託されたのかどうかは分からなかったが、ロバーツ監督は佐々木を送り出すと、わずか11球(奪三振2)、三者凡退でゲームセット。ドジャースはこれで地区シリーズへと進んだ。
“ギリギリまで迷った”ロバーツ監督
そして、フィリーズとのしびれる第1戦、5対3の2点差で迎えた9回、佐々木は正真正銘のクローザーとしてマウンドに上がった。


