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世界陸上“豪雨の走高跳決勝”28歳金メダリストが競技中に記したノートの中身は? “眠れる美女”は銅メダルでも…「ブランケットがあったので大丈夫」
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涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byGetty Images
posted2025/09/27 11:06
東京世界陸上の女子走高跳で金メダルを獲得したオリスラガース。試技毎にノートに何か書き込む姿がSNSなどでも話題に。果たしてその中身は?
世界記録保持者として前評判では優位を報じられていた銅メダルのヤロスラワ・マフチク(ウクライナ)も不本意な結果だったろうが、笑顔でミックスゾーンにあらわれた。数人の記者で彼女を囲む。
「日本のファンがウクライナの国旗をたくさん持ってきてくれたんです。驚きましたが、とても嬉しかったですし、感謝しています。前回このスタジアムに来たのは今年の5月(セイコーゴールデングランプリ出場のため)でしたが、そこでたくさんのファンがいることに気づきました。
スイスのチューリッヒやローザンヌまで来てくれた日本のファンもいるんです。すごいですよね。私のパフォーマンスが人々に何かを与えている、ということを示してくれているようで、とても嬉しいです」
「ブランケットがあったので大丈夫(笑)」
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雨による2度の中断が競技に影響したのか――質問が飛ぶと「その質問は当然よね」とユーモアに溢れる回答をしてくれた。
「どの選手も雨を避ける場所を探していました。でも、私にはブランケットがあったので大丈夫(笑)。ブランケットの外側は濡れていましたが、内側は問題ありませんでした。だから私は濡れずにすんだんです。でも、2m02の最初の試技の時に、マットがとても濡れていて、髪の毛もびしょ濡れになってしまったんです。この大会は、私の人生の記憶に残るでしょう」
この日のパフォーマンスについても質問が飛んだ。
「もちろん、2mよりも高く跳びたかったし、それが可能だと分かっていました。1m97を跳んだ時は本当に素晴らしい跳躍ができたのですが、なぜ2mや2m02を同じように跳べなかったのかは分かりません。
でも、アンジェリナ・トピッチと銅メダルを分け合えて本当に嬉しい。この経験が私にとって、これからも努力し続けるためのモチベーションになると思います。まだスポーツで全てを達成したわけではありません。私の競技人生には大きな計画がありますから」
気高いシスターのような金メダリストと「眠れる森の美女」と大注目された銅メダリスト。2人の言葉は、豪雨による中断でも揺るがないアスリートとしての真摯な姿勢が滲み、そしてハイジャンパーの強靭なメンタルが透けて見えた。
女子走高跳決勝は、大雨に邪魔され、トラックの激闘に隠れてしまったが、最高の勝負だったのだ。


