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オリンピックPRESSBACK NUMBER
世界陸上“豪雨の走高跳決勝”28歳金メダリストが競技中に記したノートの中身は? “眠れる美女”は銅メダルでも…「ブランケットがあったので大丈夫」
posted2025/09/27 11:06
東京世界陸上の女子走高跳で金メダルを獲得したオリスラガース。試技毎にノートに何か書き込む姿がSNSなどでも話題に。果たしてその中身は?
text by

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Getty Images
「2021年、東京オリンピックでこのスタジアムに来た時、とても穏やかな気持ちでフィールドに立っていたのを今日思い出しました。自分のパフォーマンスが自分のアイデンティティや価値を決めるものではないと分かっていたからです。だから、金メダルをとれそうになったときもプレッシャーはありませんでした。なぜなら、最下位になったとしても何も失わないし、1位になっても何も得られないと知っていたからです」
世界陸上の女子走高跳で金メダルを獲得したニコラ・オリスラガース(オーストラリア)は、競技後にミックスゾーンでそんな風に語っていた。
笑顔の言葉は…まるで「教会のシスター」!?
表情は笑顔。でも、その言葉にはどこか聖性が帯びていて、クリスチャンでもないのにシスターの説教を聞いているような気分になってくる。世界陸上決勝の直後の金メダリストの言葉を聞いて、である。
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「雨が降りしきる中、競技が再び始まるのを1時間以上も待っていましたが、ただただ楽しかったんです。自分の内側に光があったから。もし負けたとしても、1位になっても、これだけで十分なんだと分かっていました。そして、跳ぶたびに、それはまるで礼拝のようでした。『さあ行こう』という気持ちでした」
「世界陸上のスタジアムに来る前に、すべきことは終わっているんです。人生で最高のコンディションで、何年も前から夢見ていた満員のスタジアムを見て、ただただ自分の置かれた状況を楽しんでいました。だから待つことは気になりませんでした。
雨粒が横からタオルを濡らし、屋根のある場所へ移動しなければなりませんでしたが、またしてもイエス様と時間を過ごしているような感覚でした。何時間でもここにいられる。スタジアムが閉鎖されても構わない。私は今、最高の場所にいるんだから、と」

