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「新しい価値を作っていける」大迫傑(34歳)が本音で明かす中国メーカー「リーニン」と契約したワケ「メイド・イン・チャイナの概念を変えた方がいい」

posted2025/12/06 17:02

 
「新しい価値を作っていける」大迫傑(34歳)が本音で明かす中国メーカー「リーニン」と契約したワケ「メイド・イン・チャイナの概念を変えた方がいい」<Number Web> photograph by Shota Matsumoto

12月7日のバレンシアマラソンに出場する大迫傑が、中国メーカーのリーニンと契約した理由を明かした

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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Shota Matsumoto

 10月のレガシーハーフから大迫傑の所属が「リーニン(LI-NING)」に変更された。かねてより噂はあったものの、日本のトップランナーによるNIKEから中国新興メーカーへの「移籍」は大きな話題になった。その決断の裏にはどんな思いがあったのか。アスリートとしてのビジョンを語ってもらった。<NumberWebインタビュー全3回の3回目/1回目から読む>

中国メーカーのリーニンと契約したワケ

――リーニンとの契約について、レガシーハーフ直後のコメントだけだと真意が読み取りづらかったので、もう少し詳しく教えてください。

大迫 まずはシンプルに、熱心に僕に声をかけ続けてくれたということがあります。正直、その部分が一番大きいかもしれません。そしてもちろんシューズを履いてみて、プロダクト自体が良かったというのもあります。あと「アスリートでいられる時間」を考えたことも大きかったかもしれません。

――時間、ですか?

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大迫 自分はあと何年アスリートでいられるんだろう、と。大谷翔平選手にだってトップアスリートとしての賞味期限があるでしょうし、先日のニューヨークシティマラソンを最後に一線を退いたエリウド・キプチョゲだって同じです。もちろん年齢に逆らいたいという気持ちもあるし、それに囚われすぎるのは良くないと思うのですが、長期的にみたら「終わり」がくるわけです。そう考え、5年、10年後の自分がどこに着地するかを想像すると、NIKEと契約したままだとあまり具体的に見えなかったんですよね。もちろんNIKEとも色々と話をしましたし、こちらの希望も伝えました。でも、NIKEが一緒にできると言ってくれたことが少なくて、リーニンの方が多かったということです。仕方のない面もあるんですけどね。

――将来的にブランドと一緒にやりたいこと、というのは具体的には?

大迫 アスリートとして、いわゆる自分のIP(知的財産)を増やして、その価値を大きくして行きたいですよね。これまで僕がやってきた「Sugar Elite」もそうですし、GMOでのプレイイングマネージャとしての取り組みもそうかもしれません。まだ具体的になっているわけではないですが、それをリーニンの人たちが親密になって考えてくれたんです。

――「IP」という言葉の選び方が大迫選手らしいです。

大迫 IPを考えると、キティちゃんってすごいじゃないですか?(笑) 可愛いし、誰にでもわかってもらえて、どこにでもいますよね。

――箱根駅伝で山梨学院大学のユニフォームにも登場しますし。

大迫 分かりやすく言うと、サンリオにとってキティちゃんはすごい大きなビジネスだし、そのキャラクターに乗せて自分たちが伝えたいものを伝えていける手段ですよね。そんなこともちょっと考え出すと、その競技のトップオブトップ、ランニングだったらキプチョゲ、バスケだったらマイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントは、アスリートとしてのIPがNIKEというブランドと一緒になってオートマチックにできていくと思うんです。

 でも、やっぱり僕のレベルだと、意思を持って、意識的にIPを作っていかないと価値を保つのが難しいと思います。NIKEのような世界的企業から見ると、大迫傑というのは日本というエリアのアイコンでしかいられないんですよね。仕方ない面もあるし、NIKEの考えも理解できるんですよ。だけど、リーニンは大迫傑の優先順位が高かったし、僕自身の取り組みを含めて評価してくれた。だからこそ、リーニンと契約することで、新しいことができる、ランニングにおける新しい価値を作っていけると考えたというところですかね。

「メイド・イン・チャイナ」の概念を変えた方がいい

――今回の所属先契約を発表した時に、SNSなどでは「都落ち」とか「どうして知名度のない中国メーカーと?」というネガティブなコメントもみられました。外からの声は気になりませんか?

【次ページ】 本質を見て、未来を想像する

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