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「スタジアムが閉鎖されても構わない」“眠れる森の美女vs.ノートをめくるシスター”…世界陸上“豪雨の走高跳決勝”「テレビに映らなかった」激戦の全内幕

posted2025/09/27 11:05

 
「スタジアムが閉鎖されても構わない」“眠れる森の美女vs.ノートをめくるシスター”…世界陸上“豪雨の走高跳決勝”「テレビに映らなかった」激戦の全内幕<Number Web> photograph by AFLO

東京世界陸上女子走高跳で金メダルを獲得したオリスラガース(右)と銅メダルのマフチク。試技中に降り出した雨が勝負にも影響を与えた

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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 大きな盛り上がりの中で幕を閉じた東京世界陸上。連日、地上波でも熱戦の様子が報じられたが、もちろんすべての競技が中継されたわけではない。名勝負ながら、放送には乗らなかった戦いも数多くあった。突然の豪雨に見舞われた女子走高跳決勝もそのひとつ。「眠れる森の美女」として戦前から注目されたヤロスラワ・マフチク(ウクライナ)に、長年のライバルが挑んだ激戦の様子を、本人たちの言葉で振り返る。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》

「もし負けたとしても、1位になっても、これだけで十分なんだと分かっていました」

 9月21日、世界陸上の女子走高跳の決勝。バーの高さが2m00になると、ぽつぽつと雨が降り始めた。この日、一度も跳躍を失敗していない二コラ・オリスラガース(オーストラリア)はその天候をものともせず見事に1回目で成功。

 だが、その直後に跳んだ優勝候補筆頭のヤロスラワ・マフチク(ウクライナ)がこの世界陸上で初めてバーを落とすと、続くアンジェリナ・トピッチ(セルビア)らも続けて失敗した。

突然降り出した雨…選手たちの反応は?

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 ここで雨が強くなり、競技は中断。このインターバルの選手の行動が面白かった。「眠れる森の美女」ことマフチクは寝袋を屋根が張り出して、雨に濡れないトラックの外側に移動。 

 いつものように寝袋の中に入って、目を閉じている。そしてオリスラガースもトラックの外側に移動すると、静かに小さなノートをめくっていた。

【次ページ】 試合後に聞いた「メダリストたちの言葉」

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#ヤロスラワ・マフチフ
#ニコラ・オリスラガース
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#アンジェリナ・トピッチ

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