“昨季はJ3福島でプレー”大関友翔20歳「なぜ急成長して日本代表に？」鬼木達の金言も…苦しい環境で「リアルに感じた」サッカー選手としての“本質” 

　もちろん、結果の重要性は自分なりに意識していたつもりだ。しかし、本当にこだわっていたのか。その意識がどこか甘かったのではないか。自問自答した末に、今の自分に足りないのはまさにそこだと結論づけた。

「福島でも試合に出られなかったら…」

　福島の地は川崎で生まれ育った大関にとって馴染みもなく、未知の環境である。不安がなかったわけではない。だが、危機感を持ちながらも、自分を変えるチャンスだとも捉えていた。

「このまま福島でも試合に出られなかったら本当にまずいな、と。ただ、フロンターレの練習の中でもやれている自信はあったので、試合に出るチャンスがあればやってやろうと思ってましたね」

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　福島の指揮官に就任したのが、前年まで川崎のコーチを務めていた寺田周平だったことも幸いした。4-3-3システムで攻撃的なスタイルを掲げるチームにあって、大関は中盤のインサイドハーフを任されている。プレーのモデルにしていたのは、川崎フロンターレの現14番の脇坂泰斗だった。

「海外の選手より、ヤスくんの映像をよく見てました。4-3-3のインサイドのヤスくんのターンとか、ボールを受ける位置、止まっておくところ。リョウタさん（大島僚太）もそうですし、トップ下で出ていた憲剛さんのプレーもそうですね。フロンターレの先輩を参考にしていました」

川崎フロンターレの先輩たちを参考に、大関友翔は意識とプレーの質を高めていった　©Shigeki Yamamoto

　中盤の選手でありながら、点を取るためにはどうすればいいのか。

　取り組みとしては、まず点を取れる位置に入っていくことを意識する。パスを出したらペナルティエリアの中に入っていくランニングを繰り返した。マインドを変え、それを自分のできる範囲で具体的なアクションへと落とし込んでいった。

　幸運にも、すぐに結果がついてくる。

　J3リーグ第2節のテゲバジャーロ宮崎戦で、初ゴールを記録した。ライン間でボールを受けて前を向くと、ドリブルで持ち込んでゴールネットに突き刺した。ユースの頃であればパスを出す側だった自分が、受け手になって味方からボールを引き出し、そのままシュートまで持ち込んでゴールを決めたのだ。

　記念すべきJリーグ初ゴール。嬉しさのあまり、無我夢中で喜んだ。ジャンプしながら両腕でガッツポーズするゴールパフォーマンスは、周囲から「ダサい」と不評だったが、自然と出たアクションだったので後悔はしていなかった。

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