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驚きの日本代表選出「スタメンで出てない選手が…いいのか?」大関友翔20歳が森保監督に聞いた“本当の評価”…「中村憲剛に憧れた少年」15年の成長秘話
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/09/25 11:35
川崎フロンターレの大関友翔。20歳の若さで日本代表にたどり着いたMFの“ルーツ”とは
「トレーニングパートナーのときよりも守備の成長が感じられる、というのは森保監督から言ってもらいました。ただチームではスタメンでは出ていないので、『もっとやらなきゃいけないよ』という話もしてもらいました」
「いいパスだった」中村憲剛からのメッセージ
そのE-1選手権、第1戦のホンコン・チャイナ戦の後半途中から大関はピッチに立っている。
代表デビュー戦では、前線に走り出していた中村草太に絶妙な浮き球を供給し、決定機を演出した。惜しくも得点には結びつかなかったが、14番をつけた大関の繰り出したパスが、まるであのときの中村憲剛のようだとサッカーファンの間で話題になった。
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あのときとは、2009年の南アフリカW杯アジア最終予選のウズベキスタン代表戦だ。背後に抜け出した岡崎慎司に向けて中村憲剛が空間を使って浮き球を届けた有名なシーンである。最初のシュートは決まらなかったが、こぼれ球を再び岡崎が泥臭く押し込んだ。
16年前の出来事だが、本大会への切符を掴む決勝弾になったことで、W杯予選の歴代ハイライトでは必ずと言っていいほど流れるゴールシーンだ。大関が見せたプレーは、あの場面を彷彿とさせたのである。
当時の大関は4歳。「リアルタイムでは見てなかったですけど、憲剛さんのプレー集とか『やべっちFC』をよく見ていたので」と、あのシーンから着想したパスだったと証言している。実際には、今夏の麻生グラウンドで、山本悠樹とともに本人から直々に伝授されていたプレーでもあったようだ。
「あのイメージは常に持ってます。僕の場合はどちらかというとゴロよりも空間に落とす浮き球の方が得意かなと思います。ああいうパスを出す時は、味方と目を合わせた後に相手選手を見るんですけど、ボールウォッチャーになっていたので。あの選手を越えるだけでパスが通るなって。それほど難しくはなかったです」
試合を終えた大関の元に、メッセージが届いていた。
「いいパスだった」
中村憲剛からだった。温かみのある言葉を噛みしめながら、思いを込めて返信をした。
「あのウズベキスタン戦のイメージでした」
あの等々力の夜から15年の歳月が経過していた。
少年はプロとなり、この日、日本代表の舞台にたどり着いた。この道をまっすぐに進んでいけばいい。そう確信した日にもなった。
<続く>

