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「戦力として昔より頼れないが」長友佑都39歳のW杯日本代表“疑問の声”にトルシエ元監督が真っ向反論「私のアキタ、ナカヤマがそうだ」
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/21 11:01
長友佑都についてW杯本大会メンバー26人枠に入れるかどうかが議題に上がるが、トルシエはどう考えているか
「日本はアジアでは屈強なチームだ。W杯に向けて、次に準備するのは世界レベルでどう戦うかだ。この2試合で、森保はひとつの答えを得たかったのだろう。日本はメキシコのようなチームを相手にしても、互角以上に戦えると。実際にメキシコ戦は、どこを相手にしても決して屈することのない本物のキャラクターと哲学を、日本は持っていることを示した。しかもアウェーに等しい状況で、とてもレベルの高い試合だった。
もちろん日本も問題を抱えており、ゴール前での効率の欠如――得点力不足は解決されていない。しかしプレーのベース=プラットフォームということでいえば、森保はずっとプレーの構築を基本理念にしている。すなわちテクニックを駆使してのボール保持と、スピーディなショートパスを駆使してのトランジション。中心となる選手は久保建英や南野、三笘薫、堂安律らで、彼らが相手守備陣を挑発し、縦の深さを利用して切り裂いている。彼ら4人が、危険な状況を作り出す鍵となる選手たちだ。
メキシコ戦の前半では、そのことが改めて確認できた。コンパクトなブロックを保ち続けて、中盤でブロックを形成しボールを保持する。ボールを細かく繋いで小さなスペースを作り出す。それが森保のアイデンティティであるのは明らかだ。そこから先は正確性や判断の的確さ、ラストパスの問題だ」
フジタ、モチヅキも私の好きな選手だ
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――メキシコ戦は、プレスも高い位置でかけていました。
「その通りで、前半は自信を持って前がかりにプレスをかけていた。そして三笘と堂安、南野、久保が、攻撃面でのトランジションを作り出していた。0-0という結果が順当であったのは、メキシコも良く守っていたからだ。
メキシコ戦に比べると、アメリカ戦の分析は難しい。というのも日本は完全ターンオーバーで臨んだのに対し、初戦の韓国戦に敗れたアメリカはモチベーションが高く、勝利への意欲に溢れていたからだ。日本以上に、アメリカにとって重要な試合だった。
日本は自由にプレーしたが、コンビネーションの欠如は明らかだった。成熟したチームではなかった。もちろんいいところもあったが、メキシコ戦のチームとはコレクティブな統一感が明らかに異なっていた。そしてアメリカは効率面で日本を上回っていた。失点の場面では、長友佑都が背中を向けてクロス対応へのミスを犯した。それでも……」
――全てが悪かったわけではないと。

