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柳田将洋と石川祐希に「ふざけんな」男子バレー世代交代に揺れた“職人アタッカー”が涙を流して声を荒げた瞬間…記者から飛んだ残酷な質問
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKoki Nagahama/Getty Images
posted2025/09/22 11:03
2015年ワールドカップ、当時19歳の石川祐希をフォローする米山裕太
2013年に大学生の柳田が、2014年にはまだ18歳だった石川が日本代表に初選出された。当時30歳を迎えようとしていた米山は、彼らにライバル心を抱くことはなかったという。
春高バレーでの活躍を見ていた米山は、ともに日本代表として合宿や試合を重ねていく中で「すげーな、頑張っているなと思うことばかりだった」と二人への想いを回想する。すぐに中心選手としてプレーし、男子バレー人気回復の立役者として露出する後輩たちに尊敬の念すらあった。
ただ、リオ五輪予選だけは違った。米山にとって選手として目指す「最後の五輪」がかかっていたからだ。
“当落線上”にいた米山
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柳田や石川が脚光を浴びた2015年ワールドカップ。米山は合宿中に受傷した足関節捻挫の影響から調子が上がらず、満足いく活躍ができずに大会を終えた。
「(その後も怪我の影響で)Vリーグでも出ていないのに日本代表に選ばれる保証はない。今だから言えることですけど、あの時は正直、このまま選ばれないかもしれないという気持ちもありました」
2016年の日本代表登録選手28人に滑り込んだ米山にとって、事前合宿は限られたアピールの場だった。練習でも100%を出すのは当たり前。練習試合でも自らの役割に努めた。しかし、合宿の終盤に行われたアメリカとの親善試合ですら出場機会はほぼ巡ってこなかった。
これが本当に最後かもしれない。米山は盟友である永野と清水邦広に自らの思いを明かした。

