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大学野球PRESSBACK NUMBER
「なんであんなに足を上げて打てるの?」立教大の三冠王・山形球道は偉業バネにプロ目指す「武器は沖縄・興南高で培った観察力」「理想は近藤健介さん」
text by

内田勝治Katsuharu Uchida
photograph bySt. Paul's University Baseball Club
posted2025/09/19 11:03
特徴的な一本足打法で春季リーグ三冠王を獲得した、立教大の山形球道。秋季リーグでさらに力を見せてプロを引き寄せられるか
ただ、Aチームの4年生には、最速157キロ右腕の荘司康誠(楽天)や、2018年に春夏連覇を達成した大阪桐蔭の主力打者だった山田健太(日本生命)、宮崎仁斗(トヨタ自動車)ら、錚々たるメンバーが揃っており、「本当にこのレベルでやっていけるのかな」と不安に駆られたこともあったという。それでも1年秋のフレッシュトーナメントに「1番右翼」で出場して準優勝に貢献。新チームからAチーム入りを果たした。
そして2年春にリーグ戦デビューを果たす。しかし、同年秋のシーズン前に古傷の腰を骨折して出場なし。ケガが治ってからも、持ち前のフルスイングは影を潜めた。
「もともと引っ張って飛ばす力はあったと思います。ただ、中学の時に打撃を教わっていた渡辺英昭さん(元ロッテ、現日大コーチ)にオープン戦でお会いした時に、『中学の時と比べて(上半身と下半身の)捻転差がなくなったな』と言われました。強くスイングすることに怖さはあったのですが、3年春のシーズン前のキャンプで、気にしてもしょうがないと思うようになり、フォロースルーをわざと大きくしてみたり、自分の中で大丈夫だという意識付けをやりました」
プロ入りした篠木健太郎から一発
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3年秋のリーグ戦中には、それまで上げていた右足をさらに高く上げ、下半身の力をフルに使う新一本足打法に辿り着く。法大の篠木健太郎(DeNA)からリーグ戦初本塁打を放つなど、2本塁打をマーク、自身が進む方向性が間違っていなかったことを確認できた。
「篠木さんから本塁打を打てたことは一つの自信になりました。しかも、右中間まで飛ばすことができたので、確実に成長しているなという実感は持ちました」
最上級生となって迎えた今春は、右足を上げるタイミングを早め、トップを作った状態からあらゆる投球に対応できるようにスイングを繰り返した。一つ間違えば軸が崩され、自分の打撃を取り戻せなくなる危険性もあったが、実戦の中で何度も投手との間合いを測っていった。

