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大学野球PRESSBACK NUMBER
大先輩・長嶋茂雄も届かず「東京六大学で立教大59年ぶり三冠王」山形球道とは何者? 高校は東京→沖縄に野球留学「最初は言葉も全く分からず…」
posted2025/09/19 11:02
六大学春季リーグにて、.444、5本塁打、17打点で三冠王を獲得した立教大の山形球道。東京から沖縄の高校に留学したわけとは?(写真:立教大学野球部提供)
text by

内田勝治Katsuharu Uchida
photograph by
St. Paul's University Baseball Club
2025年は沖縄の野球界にとって新たな歴史が刻まれた年となった。沖縄尚学高が、県勢15年ぶりとなる全国制覇を達成。日大三高(西東京)との決勝戦が始まった午前10時ごろには街中から人と車が激減し、飲食店など多くの店舗も臨時休業の張り紙を掲げるなど、一時の間、社会活動がストップした。
決勝を生中継したNHK総合の沖縄地区の平均世帯視聴率が46.3%、瞬間最高視聴率は52.3%(ビデオリサーチ調べ)と、県民の約半数がテレビにかじりつき、快挙を見届けた。改めて沖縄の野球熱の高さがうかがい知れた瞬間だった。
東京六大学の「沖縄旋風」
それより遡ること3カ月前。歴史と伝統に彩られた東京六大学の春季リーグで、沖縄旋風を巻き起こした選手がいる。興南高出身の立教大・山形球道(4年)が、打率.444、5本塁打、17打点と、1番打者としては異例の好成績で戦後18人目、同大では1966年春の槌田誠(元巨人など)以来、59年ぶり2人目の三冠王に輝いた。172センチ、83キロと上背こそないが、左打席から右足を高々と上げる一本足打法を武器に、広角へ長短打を連発した。
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「清永健二コーチから『三冠王を獲ったら立教では槌田さん以来だぞ』と言われていたので、意識はありました。早慶戦が終わって三冠王が決まった時、そこまで実感はありませんでしたが、(早稲田大と明治大の)優勝決定戦後に行われた閉会式で首位打者のブロンズ像を受け取り、今まで関わってきた野球関係者の方からお祝いの言葉をたくさんいただいてから実感が湧いてきました」
長嶋茂雄氏でも届かなかった三冠王
長嶋茂雄(元巨人)は立教大時代、首位打者を2度獲得したが、打者最高の栄誉には手が届かなかった。その大先輩は、山形の三冠王が決定した2日後の6月3日に89歳でこの世を去った。


