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「なんであんなに足を上げて打てるの?」立教大の三冠王・山形球道は偉業バネにプロ目指す「武器は沖縄・興南高で培った観察力」「理想は近藤健介さん」
posted2025/09/19 11:03
特徴的な一本足打法で春季リーグ三冠王を獲得した、立教大の山形球道。秋季リーグでさらに力を見せてプロを引き寄せられるか
text by

内田勝治Katsuharu Uchida
photograph by
St. Paul's University Baseball Club
立教大の山形球道(4年)は、今春の東京六大学リーグ戦で戦後18人目となる三冠王を獲得した。大学の大先輩である長嶋茂雄(元巨人)ですら手の届かなかった偉業をなし得たのは、沖縄で過ごした高校3年間があったからこそだ。
「中学時代、興南高校に興味を持ち、我喜屋優監督の本を読ませてもらった時に感銘を受けました。『新しい地域に行って挑戦することが大切だという『ディスポート精神』や、興南は社会で通用する人材育成を掲げているということも書いてあり、そういう指導者の元で野球がやりたいなと思い、東京から沖縄へ行きました」
野球だけでない観察力の鍛錬
興南では、野球の技術はもちろんのこと、細かな観察力、洞察力を徹底的に鍛えられた。朝の散歩後、我喜屋監督からランダムで1分間スピーチを指名される。ただ何も考えずに歩くだけでは、10秒もしゃべり続けることはできないだろう。その日の天候や、街の風景、風に揺れる草木、鳥のさえずり……。気づいたことは逐一頭の中に留めておき、スピーチの中に盛り込んでいく。
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「高校3年間で視野が凄く広くなりました。練習中に我喜屋監督の指導を全員で受けている時も『こいつの変わったところを誰か言ってみろ』と振られ、手を挙げなかったら『お前らは何も気づけなかったのか!』と怒られます(笑)。瞬時にその選手のどこが変わったかを考えて発言するという能力、話す力、見る力が凄く鍛えられました。五感を研ぎ澄ませないと、我喜屋監督の元ではやっていけません」

