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「85歳、炎天下で自ら指導」「HRを打った“後”を練習」王貞治“世界少年野球大会”31回目への思い「子供たちに野球をやってもらうために」
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byMasanori Kise
posted2025/09/16 11:02
31回目を迎えた世界少年野球大会で挨拶する王貞治。野球の普及に向けた思いを聞いた
日本の野球界をピラミッドで表現すれば、頂点がプロ、その下に社会人、独立リーグ、さらに高校、中学と続いていく。だから「世界少年野球大会」に参加している小学生らのジュニア世代は、それこそ、野球界の土台を支える“基礎部分”にあたる。ここがしっかりと固まり、さらにはすそ野が広がって安定しなければ、上部がぐらつくのは自明の理だ。
野球人口が減りつつある。これを、いかにして食い止めるのか。
「野球」を通して、スポーツの楽しさを知る。仲間たちと力を合わせて、ひとつのボールを追いかけ、勝利というひとつの目標を達成するという喜びを分かち合うそのプロセスと姿勢を体験することは、後に成人し、社会に出たときには必ず生きてくる。
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その「楽しさ」と「尊さ」を味わえるのが、スポーツの、そして「野球」の醍醐味でもある。このサイクルを生み出すためのきっかけを作り、その媒介となりたい。
やっぱり野球は日本人に向いたスポーツ
時代の推移とともに、野球界が直面する“問題の質”も変わってくる。
「今、校庭でバット振っちゃいけないとか、公園でキャッチボールをしちゃいけないとかっていう、ホント、我々からしたら、なんでそうなっちゃったのかな、というような規制があったりするんでね。
それをもう一回、そういう立場の人たちともいろいろと話し合いながら、野球をやってもいい、っていうのを少し緩やかにしてもらいたい。子供たちがかわいそうじゃないですか。子供たちが野球をできるような環境をまず取り戻したいんです。
野球は、明治時代から日本で続いてきて、人気にもなった。やっぱり僕は、野球って日本人に向いたスポーツだと思うんですよ。今、大谷(翔平)君があんなに活躍してくれている。メジャーリーグでトップの選手が日本人で、それをアメリカ人だって認めてくれているわけですよ。だから、将来的にどういう選手が出てくるかなんて今は分からないんだから、その期待を持ちながら、子供たちに野球をやってもらいたいし、そういう状況を作ってあげたいんです」
王は、この“願いのバトン”を、着実に次世代へとつないでいきたい。だからこそ、自らがイニシアティブを取る形で「球心会」を立ち上げたのだという。
〈「球心会」とは何か?/2回目につづく〉

