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阪神独走Vのウラで「借金生活のセ2位がCS→日本シリーズに行くかも」問題…3位進出でもモメるのに改善案はあるか「もし3地区制だったら」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/09/12 11:09
独走優勝の阪神と、勝率5割前後の2位巨人。現在のCSでは「借金チームが日本シリーズ出場」の可能性が十分にある
〈交流戦セ・リーグの成績〉
広島18試9勝9敗0分 率.500
阪神18試8勝10敗0分 率.444
中日18試8勝10敗0分 率.444
DeNA18試7勝11敗0分 率.389
巨人18試6勝11敗1分 率.353
ヤクルト18試5勝12敗1分 率.294
広島が5割、他の5球団は負け越し。リーグトータルでも43勝63敗2分、勝率.406、20の負け越しという交流戦史上最低の数字になった。この「借金20」が響いて、交流戦明けから低勝率にあえぐチームが続出した。
借金生活でCSに出たケースは7例…すべてセ
そんな中で阪神が独走した。交流戦の成績を差し引けば、セのペナントレースはこうなる。
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阪神111試71勝37敗3分 率.657差ー
巨人111試57勝52敗2分 率.523差14.5
DeNA110試53勝52敗5分 率.505差2
中日110試49勝59敗2分 率.454差5.5
広島110試46勝59敗5分 率.438差1.5
ヤクルト106試42勝59敗5分 率.416差2
阪神の圧勝は変わらないが、2位巨人が5つ、DeNAも1つの勝ち越しで5割を超える。こうであれば「CSに出るのは最低でも勝ち越しているチームであるべき」という声はあがらなかっただろう。ただ3位チームに限れば、CSが両リーグで導入された2007年以降、勝率4割台で7チームが進出している。以下、「差」は首位とのゲーム差、→はCSでの結果。
2015年阪神/143試70勝71敗2分 率.4965差6(ヤクルト)
→ファーストステージ敗退
2009年ヤクルト/144試71勝72敗1分 率.4965差22(巨人)
→ファーストステージ敗退
2021年巨人/143試61勝62敗20分 率.4959差11(ヤクルト)
→ファイナルステージ敗退
2016年DeNA/143試69勝71敗3分 率.4929差19.5(広島)
→ファイナルステージ敗退
2013年広島/144試69勝72敗3分 率.4894差17(巨人)
→ファイナルステージ敗退
2022年阪神/143試68勝71敗4分 率.4892差12(ヤクルト)
→ファイナルステージ敗退
2018年巨人/143試67勝71敗5分 率.4855差13.5(広島)
→ファイナルステージ敗退
勝率5割未満でのCS進出はすべてセ・リーグのチームだ。交流戦でセがほとんど負け越している影響が大きい。3位から日本シリーズに進出して優勝した下剋上チームは2010年ロッテ、2024年DeNAの2例だが、負け越した3位チームが日本シリーズに出たことはない。
しかし7チーム中5チームはファーストステージを勝ち抜いている。勝率4割台から日本シリーズ、日本一という可能性もなくはなかった。

