酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
阪神独走Vのウラで「借金生活のセ2位がCS→日本シリーズに行くかも」問題…3位進出でもモメるのに改善案はあるか「もし3地区制だったら」
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/09/12 11:09
独走優勝の阪神と、勝率5割前後の2位巨人。現在のCSでは「借金チームが日本シリーズ出場」の可能性が十分にある
前述のとおり、2位チームが負け越しとなれば史上初だが、クライマックスシリーズの出場チームは「クライマックスシリーズ開幕予定日の2日前までに組み込まれた日程終了時点での順位をもって確定する『レギュラーシーズンの順位』に基づいて3位までのチーム」とされ、勝率についての規定はない。
もし2位チームが「負け越し」というのは異例ではあるが、ペナントレースは「絶対的ではなく相対的な順位」で決まる。そのため、上が勝ちすぎたり、交流戦での大負けという特殊事情があった際には2位が負け越す可能性があることは、事前に分かっていたこと。想定外と評するのは違和感がある。そもそも、3位なら負け越してもCS出場はありなのか? という問題はある。
CSの興行収入が大きいというジレンマ
世界のプロスポーツ界では「ポストシーズンの充実」は、興行的に大きなテーマになっている。MLBもかつてはペナントレースの後は4戦先勝のワールドシリーズだけだったが、今のア・ナ両リーグのポストシーズンは以下の流れになっている。
ADVERTISEMENT
(1)2戦先勝のワイルドカードシリーズ
(2)3戦先勝の地区シリーズ
(3)4戦先勝のリーグ優勝決定シリーズ
(4)4戦先勝のワールドシリーズ
2024年のポストシーズンは、10月1日に始まり、10月30日にドジャースがヤンキースを下して世界一になるまで続き、43試合に上った。
NPBもかつては4戦先勝の日本シリーズだけだったが、昨年は10月12日にCSファーストステージが始まり、11月3日に日本シリーズでDeNAがソフトバンクを下して終わるまで日数は23日間、試合数は20試合だった。
CSは2位、優勝チームの主催試合だ。興行収益は非常に大きい。さらにペナントレースが終わってから3週間、ファンと世間の注目をつなぎとめるのも大きい。ポストシーズンは「野球シーズンの延長戦」であり、興行の観点からもプロ野球人気アップの観点からも非常に重要なのだ。「勝率5割未満はCSに出られない」となると勝ち越し、負け越しが決まるまでCSの予定が立てられず、興行側としては痛手となる。
もちろん、負け越したチームがポストシーズンに出ることにモヤモヤとした思いを抱えるするのはわかる。ポイントは言わずもがな、「アドバンテージがあるにせよ、優勝チームが2位、3位チームに負けて日本シリーズに出られない可能性があるから」だろう。
理不尽解消+PS充実を維持する一案とは
その理不尽さをできるだけ解消し、かつポストシーズンの充実を維持するための一案がある。

