酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
阪神独走Vのウラで「借金生活のセ2位がCS→日本シリーズに行くかも」問題…3位進出でもモメるのに改善案はあるか「もし3地区制だったら」
posted2025/09/12 11:09
独走優勝の阪神と、勝率5割前後の2位巨人。現在のCSでは「借金チームが日本シリーズ出場」の可能性が十分にある
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
9月7日、史上最速で阪神タイガースが優勝して、地元・大阪では予想通りのお祭り騒ぎになっている。大阪府警は、道頓堀ダイブを阻止するために1000人規模の警官を動員し「戎橋を封鎖せよ」作戦を強行、橋からのダイブは阻止したが、川端からのダイブは阻止できなかった。
2位でも5割前後…“CSこれでもやるんか”問題
ここ3年で2度目のリーグ優勝だけに阪神ファンは余裕綽々ではあったが、一方で「CSこれでもやるんか?」という声が上がっている。
〈9月11日時点でのセ・リーグ順位表〉
阪神129試79勝47敗3分 率.627差-
巨人129試63勝63敗3分 率.500差16
DeNA128試60勝63敗5分 率.488差17.5
中日128試57勝69敗2分 率.452差22
広島128試55勝68敗5分 率.447差22.5
ヤクルト124試47勝71敗6分 率.398差28
ADVERTISEMENT
1位の阪神は勝率6割を超えているが、2位の巨人が5割ちょうどで、3位以下は5割を切っている。つまり負け越しの借金生活だ。巨人は今後5割以上をキープする可能性はあるにしても、下手をすれば2位以下がすべて負け越しという事態にもなりかねない。
NPBが創設されて今年で89年、セ・パ2リーグに分かれたペナントレースが始まって今年で75年だが、2位チームが勝率5割を割り込んだことは一度もない。戦力格差が小さいプロ野球という競技で「貯金を1位球団が独占する」という事態は普通考えられない。
“借金生活の2位”はこれまで一度もなかった
これまでのペナントレースでの2位チームの勝率ワースト6。「差」は1位とのゲーム差、カッコ内は1位チーム。
2016年巨人143試71勝69敗3分 率.5071差17.5(広島)
2019年DeNA143試71勝69敗3分 率.5071差5.5(巨人)
2023年ロッテ143試70勝68敗5分 率.5072差15.5(オリックス)
1998年日本ハム135試67勝65敗3分 率.5076差3.5(西武)
1990年広島132試66勝64敗2分 率.5077差22.0(巨人)
1967年西鉄140試66勝64敗10分 率.5077差9.0(阪急)
過去のチームはどんなに勝率が低くても「.507」で、貯金2はあったことがわかる。
6例のうち首位チームが圧倒的に勝って2位に大差をつけたケースが4例、上位から中位、下位まで差が付かず団子レースになった展開が2例だった。
今回は大差がついたケースではあるが、それだけが原因ではない。今季のセ・リーグは交流戦で歴史的な大敗をしているのが要因となっている。

