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日本代表「メキシコ戦ではっきりしたポイント」とは? 三笘薫と堂安律の強力両翼の“使い道”が問題だ…現地で感じた「収穫」と「もったいなさ」
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佐藤景Kei Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/09 17:00
メキシコ戦に左ウイングバックで出場した三笘薫は、守備の負担も大きかった。本大会に向け、堂安律との両翼の生かし方を考えさせられる一戦となった
上田は、ポストワークで攻撃の起点になった。背後から激しく当たり、ボールのないところでもいやらしく駆け引きしてくるメキシコのDF相手にボールを収め、味方につないだ。
「(日本には)技術のある選手が一杯いるし、クオリティーのある戦術も組んでもらっているので、パワーでも負けない存在として、最低限今日みたいにボールを保持できる機会を作れれば、技術ある選手がもっと生きてくる。それをゴール前でもできたらもっといいですけど」と本人も一定の手応えをつかんだ様子。大迫勇也以降、空席となっていた『前線の基準点』がようやく見つかったと言えるかもしれない。
メキシコを押し込んだハイプレスの効果
戦術面では、試合開始直後の効き目抜群のハイプレスが日本の積み上げを証明した。この日、採用したシステムは、3−4−2−1。アジア最終予選の多くの試合と同様に、ウイングバックには三笘薫と堂安という攻撃的な選手を起用した。そして1トップ+2シャドーは上田+久保建英&南野拓実。立ち上がりはこの前線のトライアングルによるプレスがはまり、メキシコを自陣に押し込んだ。
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相手の2センターバックに久保と南野がプレッシャーをかけ、ビルドアップの経由地となるアンカーへのパスコースは上田が背中で消した。最終ラインからのビルドアップがままならないメキシコはボールを蹴り出すしかなく、回収しては日本が攻撃を仕掛けていく好循環を生んだ。
「スカウティングの通りに、僕らのプレスの行き方は2パターンくらい用意していて、それがうまくいった。相手のキーパーが全部、蹴ってくれたから助かったんですけど、前半の20分くらいまでは特に良かったんじゃないかと。ただ、あの状況でしっかりと決められればよかった」
そう振り返ったのは南野だった。開始20分は日本が優勢。はめて仕留めるための準備と実践が見事に結びついていた。
はめ切れなくなった時間帯の課題
と、ここまでは収穫と言えたのだが、その後、メキシコが攻めに転じると日本の課題が見え始める。狙い通りプレーしたその間に日本はネットを揺らすことができず、次第にアンカーが最終ラインに下がるなど、ビルドアップのやり方を変えたメキシコをはめ切れなくなった。

