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日本代表「メキシコ戦ではっきりしたポイント」とは? 三笘薫と堂安律の強力両翼の“使い道”が問題だ…現地で感じた「収穫」と「もったいなさ」
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佐藤景Kei Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/09 17:00
メキシコ戦に左ウイングバックで出場した三笘薫は、守備の負担も大きかった。本大会に向け、堂安律との両翼の生かし方を考えさせられる一戦となった
森保監督が試合後、明かしたところによれば「攻撃の厚みをさらに持って試合を優位に進め、得点を奪いたいという狙い」だった。しかしシャドーに移った2人は消耗もあったためか、その得点力を表現できなかった。できるならもう少し早いタイミングで、ゴールに近い場所でプレーする2人を見たかった。もちろん、今回はテストマッチであり、攻撃的なウイングバックの有効性を見極める狙いもあったと思われるが、圧倒的にボールを保持できる相手でない以上、「長所」を出すのが難しい。
90分間、強豪と互角以上の戦いを演じた点は収穫だろう。序盤のハイプレスのほかにも南野のボレーにつながった53分の崩しは、これまで日本代表が再三、トレーニングしてきた形だった。鎌田の縦パスから上田がポストになって堂安に落とし、ポケットに走り込んだ久保がボールを引き取ってクロス。フィニッシュは精度を欠いたものの、意図を持った攻めの形も見られた。
拮抗した試合を勝ち切ることの重要性
ただ90分で勝ち切れなかったのも、事実。思い出すのは同点のまま延長戦を戦い、PK戦で敗れた南アフリカ大会のパラグアイ戦、そしてカタール大会のクロアチア戦だ。グループステージなら勝ち点1を得られるが、決勝トーナメントを想定した場合、こういう相手との戦いに勝ち切る力をつけなければ、三たびPK戦に運命を委ねることになるかもしれない。
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「局面局面の戦いでは選手個々がよく頑張ってくれて、勝利してもおかしくない内容だったと思うが、守備から攻撃と、相手の強固な守備に対してもっと質を上げてシュートの本数を増やす、ゴールネットを揺らせるようにさらにチーム力を上げていかないといけないと思っています。
もちろん、勝てなかった悔しさもあるが、こうやって世界トップ基準の試合ができて、これからW杯に向かえるということを感じられた点では、非常に楽しみな部分が多くあった試合だと思う」
森保監督はシュートの本数を増やす必要性を指摘した。
日本は間違いなく前進している。ただ、チームが掲げている目標はあくまでワールドカップ優勝だ。頂点にたどり着くために、まだまだやることがあると感じられたこともまた、今回のテストマッチの収穫と言える。

