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核心にシュートを!BACK NUMBER
「博打ではないんです」冨安健洋とリバプールサポ感嘆…遠藤航が明かす“あの極上守備”「サラーさん、もう1点取ってね」出場時間少ない問題も言及
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/05 17:01
リバプールでの鮮やかな守備と、日本代表での新たなキャプテンシー。遠藤航の円熟味は32歳にしてさらに増している
「残り15分で入る意味は、そこで俺が“無駄に動く”ことだから。勝っているシチュエーションで、フレッシュな状態でボランチとして出るからには、それくらいのタスクをこなさないと。
前提として、サラーはちゃんと守備をやっていますよ。ただ、(先発した選手にとって)試合の残り10分から15分になると、キツくなってくる時間帯だから。あの時間帯でオレがいれば、サラーのようなウイングの選手は前に残れるから。それがチームのためにプレーするということ」
ただ、心のなかでは、こう願ってはいた。
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「サラーさん、そのかわり、カウンターからもう1点取ってね(笑)」
戦術ボードでサッカーを語るのは簡単。その上で…
原則論に照らし合わせれば、サラーも帰陣するよう求められる。そんなことは戦術マニアに指摘されなくとも遠藤はわかっている。
「(戦術)ボード上でサッカーを語るのは簡単。『こうなったら、こうだ』みたいなね。選手はそれをわかった上で、いろいろな判断をしている感じです。選手が何を考えてプレーしているのかを考えてみたら、サッカーを見るのがさらに面白くなるかもしれないですね」
遠藤がオウンドメディア「月刊・遠藤航」を通し、ライフワークとして取り組んでいるのが、原理や原則による“正解を突きつける”のではなく、状況や背景を踏まえたうえで、その都度、最適解を導き出すこと。それは遠藤の選手としてのフィロソフィーそのものである。
リバプールファン激賞の極上守備ウラ話
今回のイベントで遠藤が個人戦術について、じっくり解説した試合はもちろん、もう1つあった。わずか20分の出場ながらファン投票によるマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたウルバーハンプトン戦だ。
あの試合で遠藤が聖地アンフィールドのリバプールサポーターから激賞されたのは、アディショナルタイムに入った96分だった。リバプールは左サイド奥深くでペドロ・リマにボールを保持され、対峙していたロバートソンがかわされた。しかし、当然のようにカバーに入っていた遠藤が、リマとボールの間に身体を入れて、ドリブルをシャットアウト。さらにリマのファールを誘った場面だ。
あの場面を遠藤はこともなげに振り返った。

