- #1
- #2
核心にシュートを!BACK NUMBER
「博打ではないんです」冨安健洋とリバプールサポ感嘆…遠藤航が明かす“あの極上守備”「サラーさん、もう1点取ってね」出場時間少ない問題も言及
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/05 17:01
リバプールでの鮮やかな守備と、日本代表での新たなキャプテンシー。遠藤航の円熟味は32歳にしてさらに増している
「『クローザー』というのは、自分が置かれた立場で、最終的に勝ちとったポジション。与えられた役割をしっかり全うした結果、『クローザー』と呼ばれるようになったわけです。今シーズン(2024-25シーズン)で自分の存在意義を見出した最大の成果なので」
このイベントで改めて明確になったことがある。スロット監督から与えられた役割について、リバプールファンを除く大半の人が想像している以上に、遠藤は手ごたえを得ていたことだ。
「自分が『クローザー』という(仕事人の)新しいモデルになるくらいの感じで、プレーしていければいいかなと思うんです」
ADVERTISEMENT
「新しいモデル」になるというのは、遠藤の生き方を象徴するテーマかもしれない。遠藤は、日本代表キャプテンとしても、新しいモデルを見せている。
先代の吉田麻也は細かく選手たちに声をかける「昭和の母親的」、その前の長谷部誠(現日本代表コーチ)は口を開く必要があるときには誰だろうと厳しく声をかける「昭和の父親的」リーダーシップだった。
日本代表でも“新たなリーダーシップ”とは
遠藤が発揮しているリーダーシップは毛色が違う。
「W杯優勝」という目標を掲げることで、チームをまとめてきた。ただ、目標を全員に納得させるまでが彼の仕事であり、そこからは細かく何かを要求しない。にもかかわらず、今の日本代表の選手をまとめている。遠藤は「親戚のお兄さん」のような振る舞いでチームをまとめるという新しいキャプテン像を見せている。それは口うるさい指導を好まないと言われる、Z世代が多い代表でも有効になっている。
結局のところ、遠藤が新しいモデルを築くことを可能にしているのは、時代や試合の流れを読む力が彼にはあるから。そんな偉大なるキャプテンの「読む力」は世界最高峰のプレミアリーグではもちろん、日本代表の試合でもきっといかんなく発揮されるはずだ。〈第1回からつづく〉

