野ボール横丁BACK NUMBER
吉田大輝は号泣…その父が記者に明かした“進路の本音”「ドラフト1位報道に乗せられて…」じつは金足農の兄・吉田輝星も大学志望から一転した7年前
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/07 11:08
沖縄尚学に敗れ、初戦で甲子園を去った金足農・吉田大輝(3年生)
兄の吉田輝星の同級生であり、現コーチでもある高橋佑輔は大輝の進路について「甲子園次第というのもあったんじゃないですか」と斟酌する。
父の本音「大輝はまだまだ…」
大輝の中では、まだ迷っているのかもしれない。ただ、敗戦のショックから一時的に気弱になり、あのような後ろ向きなコメントになっただけかもしれない。
正樹はこう本音を吐露する。
ADVERTISEMENT
「大輝はまだまだ、そんな力はないんで……。輝星はプロに行っちゃいましたけど。ただ、輝星はすごいなというボールがありましたから。真っ直ぐは大輝よりぜんぜん上でしたからね」
その輝星もプロで順風かと言えば必ずしもそうではない。相当、苦労しているのだ。
コーチの高橋に「大輝の方が輝星より上だと思える部分はあるか」と聞くと、しばらく沈黙し、こう言った。
「……ないですね。兄さんは『ザ・キャプテン』という感じだったし、周りもよく見えていたし、練習で自分を追い込めたので。ただ、僕は大輝は大輝でいいと思うんです。追う必要はないと思っているんで」
兄弟2人の金農物語
大輝の夏が終わった。それと同時に吉田家の2代に渡る金農物語もひとまず終焉を迎えた。正樹に「さみしいでしょうけど穏やかな生活になるのでは」と水を向けると、こう返ってきた。
「すんなり進路が決まってくれたら……ですね」
傍から見れば誰もが羨むような才能豊かで、親孝行な息子たちである。しかし、そんな家庭ゆえの他人には窺い知れない苦労もあるのだ。

