酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
賛否両論の7回制とDH制だけでなく「リプレー検証も検討しています」日本高野連に改革の真意を聞く「高校野球に全然興味のない人を含めて…」
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/08/05 06:03
DH制の導入に、7回制へのアンケート……日本高野連が推し進める改革の背景を直撃取材した
実際、高野連はどう考えているのか…聞いてみた
日本のスポーツ団体は、事件が起きてから対応策を考えるのが常套化しているように見える。その中にあって異例の「先手を打つ」意欲が感じられる。また、身内意識に凝り固まるのではなく「社会から高校野球はどのように見られているのか?」「高校野球の社会的使命をどう考えるか」にも言及している。タイブレーク制の導入の時などには見られなかった展開だ。
それだけ「7回制」への移行が大きな問題なのだろう。昨今の高野連の「改革」に取り組む意識の真剣度を如実に表している。井本亘事務局長はこのように語る。
「『7イニング制等高校野球の諸課題検討会議』のメンバーの間でも、7回制への移行は、かつてない大きな改革になるから、会議の中だけで決めていいのか、という意見が出ました。これに対して、アンケートを取った結果、反対が多かったら導入は見送るのか、という慎重論もありましたが、最終的には今、皆さんがどう考えておられるか、意見を聞いてみようとなりました。高校野球に興味がある方から、全然興味がない方も含めて、いろいろな人がどう見ておられるのか、どういう考えをお持ちなのかをこのタイミングで一回きちんとお聞きした上で、次にどう進むのかを考えよう、ということになったのです」
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なお、アンケートの実施に際しても慎重を期したという。
「いくつかの調査会社に声をおかけして、私たちの要望に合致したところに調査設計をお願いしました。一般への意見の公募だけでなく、この調査会社に登録されているモニターの方にも意見をお聞きします。さらに加盟校にも意見を聞く。つまり、調査は三本立てになっています。
自由記述制にしていますから、9回制を支持する一般の方の声もたくさん出てくると思います。そうした意見もしっかり受け止めたいと思います」
アンケートに列記されたメリット・デメリット
筆者はマーケティング調査をした経験もあるが、単なる人気投票的なアンケートでは、意見の集約にマイナスに働くこともある。モニター調査は、アンケートを書く人の属性=年齢、性別、職業、スポーツ歴などが明らかで、より具体的な方向性が出ることが多い。また一般、高校野球関係者のアンケートを並行して実施することで、クロスチェックも可能になる。
このアンケートには7回制のメリットとデメリットも列記している。

