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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校野球ベテラン記者が選ぶ“甲子園で見たかった”不出場選手たち…“昨夏全国ベスト4”強豪を「130キロ台で翻弄」、186cmの「大型サイドハンド」も?
posted2025/08/06 11:02
昨夏の甲子園でベスト4まで進出した鹿児島・神村学園を追い詰めた樟南高のエース・犬窪晴人。サイドスローからのシュートに強打者も苦戦
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Asahi Shimbun
注目の組み合わせが発表されて、いよいよ甲子園大会の開幕である。全国で今年は3396チームが地方大会を戦い、その中から勝ち上がった49チームが甲子園にやって来た。つまり、3347チームは地方大会の中で敗れたわけである。およそ99%が敗れ去る過酷な戦いの中に、「この選手のプレーは甲子園の舞台で披露してほしかったな」と今でも残念に思う存在が何人もいる。
見えないほどのスピードボールで、あるいはとんでもない飛距離の長打力で私たちを驚かせてくれた選手たちもさることながら、そうでなくともこちらの印象に残った選手も多い。そんな「甲子園で見たかった」選手を思い起こしてみたい。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
高校生投手たちの「球速」についての進化は、目を見張るものがある。特にオーバーハンドの場合、もはや140キロでは速いうちには入らなくなってきた。
スピードガンが登場した50年ほど前は、高校生が「140キロ」を投げると大きな見出しになっていた。その驚きのラインが今は「150キロ」になっている。なので、私のようなあまのじゃくは、スピード以外の「武器」で勝負する投手をえこひいきしたくなる。
130キロ台でも…強打者が打ちあぐねるシュート
樟南高(鹿児島)・犬窪晴人投手(3年・181cm75kg・右投右打)は、甲子園の舞台で全国のスラッガーたち……特に、右打ちのパワーヒッターに勝負を挑んでほしかった。
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犬窪投手は、シュートを投げるサイドハンドだ。
本人は内角速球のつもりかもしれないが、打者の近くから徐々に食い込んでいくボールの動きと、実際に鹿児島県大会の右打者たちのお手上げ具合を見ると、正真正銘の「シュート」でよいだろう。

