酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
賛否両論の7回制とDH制だけでなく「リプレー検証も検討しています」日本高野連に改革の真意を聞く「高校野球に全然興味のない人を含めて…」
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/08/05 06:03
DH制の導入に、7回制へのアンケート……日本高野連が推し進める改革の背景を直撃取材した
・試合時間の短縮によって、部員の障害予防を推進でき、安全を重視するメッセージを発信できる。またフレキシブルな試合運営も可能になるが、試合を楽しむ時間は減少する。
・投球数の減少は障害予防の推進につながる。
・「6アウト」が減少することで、部員不足のチームが安全に試合に参加できるが、一方で部員の出場機会の減少につながる可能性がある。
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・試合展開は、7回制がスタンダードになっている国際基準へ向けた習熟につながる。しかし、大学、社会人、プロなど9回制の上のカテゴリーとの連続性が喪失する。上のカテゴリーに進んだ際に違和感を持つ恐れもある。
・9回制だった過去の大会との「記録の不連続性」の問題もある。
すでに中学軟式野球(中体連)、硬式野球各団体(ボーイズ、リトルシニア、ポニー、ヤングなど)、学童野球(スポーツ少年団)などはすべて7回制になっている。7回制になったことで中学生が高校に上がって違和感を抱くことはない。
じつは日本の高校年代以外、世界は7回制に
また、高校世代に相当するU18の国際大会も近頃、7回制に移行した。世界的に高校世代以下の大会で9回制を実施しているのは、日本の高校野球だけという状態ではあった。
ただMLBもNPBも、さらにはWBCやプレミア12などの成人世代の国際大会も9回制を堅持している。上記デメリットの記述にあるように、9回制の上のカテゴリーとの連続性が喪失することも問題である。
「現場」の意見は、様々だ。この議論が持ち上がった昨夏以来、筆者は話を聞いたすべての高校野球指導者に「7回制についてどう思うか?」と聞いた。私学強豪校などは従来通り「9回制」を支持する声が多かったが、公立校は「7回制なら2番手投手が打たれて終盤に逆転するケースが減るので、何とか戦える」という声が出た一方で「選手の出場機会が減る」「エースが完投する試合が増え、かえって酷使になる恐れがある」など様々な意見が上がった。
また「野球は3ストライク3アウト9つの守備位置と3の倍数を基本とするスポーツだ。9回制が本来の形で、7回制は違和感がある」との意見もあった。アンケートは7月11日に締め切られたが、これからどんな議論が展開されるのか。また、その結果を日本高野連はどのように発表するのか、注目したいところだ。
導入決定DH制については?
さらに、DH制である。
今年になって東京六大学野球連盟と、関西学生野球連盟、つまり東西の大学野球の老舗リーグが来年度からのDH制の導入を決めた。そして高校野球も来春センバツからの公式戦での導入を決めた。

