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亀田家と和解、大阪・西成で再起…興行師・金平桂一郎が抱く新たな野望「中央アジアからボクサーを輸入する」“井上尚弥”というボーナスタイムへの危機感
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栗田シメイShimei Kurita
photograph byNumberWeb
posted2025/08/04 11:03
興行師としてボクシングの未来について語った金平桂一郎。今年11月で60歳になる
一度は袂を分かった、亀田家に関しても見方が大きく変わった。今では時折会うようになったという父・史郎との付き合いの中で、こんなことを思うこともある。
「子ども3人を世界チャンピオンにし、継続させたというトレーナーとしての側面だけではなく、プロデューサーとしての史郎さんの観点やセンスが凄いんですよ。2006年に興毅の初の世界戦を横浜アリーナで行った時、当時としては異例の10万円のチケットを設定した。それが2時間で完売です。その一方で、500円チケットを販売するというセールスの仕方は、史郎さんにしか出来ない発想です。結局、亀田一家はトップセールスマンでもあり、そういう人材がボクシング界には少ないということを理解出来るようになりました」
金平が思い描く“輸入ボクサー”の未来図
金平は、ロシア留学時代に構築した旧ソ連国との関係が続いている。勇利やナザロフとも連絡を取り合い、何年かに一度はロシアや中央アジアに足を運ぶ。
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和毅の現役生活を考慮すれば、おそらく、金平がジム会長として過ごす時間はそう長くもないだろう。だが、一度ボクシングを離れ、年齢を重ねたからこそ浮かんだ構想もある。それは、キルギスやウズベキスタン、カザフスタン、ウクライナといった国のボクサーを発掘し、日本へ輸入することだ。パリ五輪でもライト級を除く6階級で旧ソ連国のボクサーが金メダルを獲得している。ゲンナジー・ゴロフキンやワシル・ロマチェンコらのレジェンドに加え、ムロジョン・アフマダリエフら世界のボクシング界で、その存在感は増しているためだ。
「中央アジアはボクシング人材の宝庫なんです。特に中量級以上は化け物のような選手がゴロゴロいる。そういった選手に活躍の場を与え、日本のジムから世界王者を目指す環境を作り、旧ソ連国との架け橋となる。決して簡単なことではないですが、間違いなく国内の階級のレベルも上がるでしょう。これは私にしか出来ないという使命感もあります」


