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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「見たか! これが井上拓真だぞ」事前の不利予想を覆し、那須川天心に完勝…バンタム級主役に躍り出た井上拓真が語った「もし井岡一翔と戦うなら…」
posted2026/02/11 17:01
那須川天心とのWBC世界バンタム級王座決定戦に勝利した井上拓真が、注目の一戦の舞台裏と今後の展望を明かしたインタビュー(後編)
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
“見たか、これが井上拓真だぞ”
試合終了のゴングが鳴るや否や、井上拓真はグローブの拳を突き合わせるように叩いてからガッツポーズを繰り出す。そしてコーナーにのぼり、拳を突き上げた。傍には父の真吾トレーナーが両手で大きく拍手していた。
気持ちを同じに――。ポーカーフェイスの仮面を脱ぎ捨て、ミッションをやり遂げた2人のテンションが重なっていた。ただ、判定結果のアナウンス前だったため、沸騰するボルテージをすぐに収めることになった。
拓真は苦笑いをこぼす。
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「結構な不利予想が多かったので“見たか、これが井上拓真だぞ”という感情が出てしまいましたね。判定がまだ出ていないし、(勝ったと思っても)安心はできないじゃないですか。コーナーを降りたときにナオ(井上尚弥)に“俺、負けてたらどうしよう”みたいな話をしました。そこからは淡々としていましたし、結果を聞いたときも、静かに受け止めたという感じでした」
事前予想は真っ二つに分かれていたものの、英ブックメーカーのウィリアムヒルが「那須川1.25倍、拓真3.75倍」とするなど直前に来て那須川有利に傾いていたこともモチベーションに火をつけた。
6ポイント差1人、4ポイント差2人の3-0判定勝ち。3ラウンドから流れを変え、そのまま押し切った。戦い終えた那須川天心と健闘を称え合うようにガッチリと握手を交わし「強かった。絶対にチャンピオンになれるから」とエールを送っている。キックボクシングから転向して8戦目で世界タイトルにたどり着いた那須川の実力を認めていた。
「格闘技センスはやっぱりありますよ。間合いや距離感というものは、やれって言われてやれるもんじゃないですから。ボクシングは相手ありきであって、相手も(パンチを)当てるためにフェイント使ったり、いろんなことを駆使したりして必死でやってくる。自分もそうでしたけど、なかなかパンチを当てさせてくれなかったというのは間違いなくあったので」
「まずは統一戦…それが叶わないのであれば」
堤聖也に敗れて世界王座から陥落して1年あまり。心身ともに隙のない自分をつくり上げて、強い姿を取り戻すことができた。


