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亀田家と和解、大阪・西成で再起…興行師・金平桂一郎が抱く新たな野望「中央アジアからボクサーを輸入する」“井上尚弥”というボーナスタイムへの危機感
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栗田シメイShimei Kurita
photograph byNumberWeb
posted2025/08/04 11:03
興行師としてボクシングの未来について語った金平桂一郎。今年11月で60歳になる
現在の日本ボクシング界を、金平は「ボーナスタイムの最中にある」と表現する。
それは、井上尚弥という天才ボクサーがもたらした、ボクシング界全体への恩恵のことを指す。言い方を換えれば、井上はあくまで特異点であり、今後も同じような状況が続くとは金平は考えていない。
「井上チャンピオンという存在が、圧倒的な強さが、ボクシングの競技性やボクサーのキャラクターにまで影響をもたらし、競技の視聴者の層も変わっていった。ですが、そんな選手は今後現れるかは分かりません。興行の形も時代と共に変わりつつあります。競技は違いますが、PPVで放映した那須川天心対武尊戦以降、一層そう感じますね」
「井上チャンピオンが特別なだけで…」
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興行の世界は、分かりやすいエンタメ性も必要である。ハリウッド俳優であるミッキー・ロークさえリングに上げた父の背中を見て育った金平の根底には、そんな考えも刻まれている。村田諒太を1億円で獲得しにいった、という逸話もその一つだろう。
「賛否は分かれるでしょうが、K-1の石井(和義)館長、RIZINの榊原(信行)さんを見ていると、批判もあるくらいのマッチメイクの重要性も感じます。ボブ・サップと曙が大晦日に戦う姿を見て、『ボクシングはこの人気には絶対に勝てない』とも正直思いました。(フロイド・)メイウェザーを来日させた榊原さんもそう。あれだけのギャラを払って元を取る、というのは不可能ですが、連れて来ることに意味があるわけです。コアではなく、マスで格闘技の注目を集めるという点ではボクシング界が見習うべきところも多い。それは、亀田一家の見せ方にも同じことがいえるでしょう。井上チャンピオンは、あくまで“特別”なだけ。遅かれ早かれ、そんな時代の興行に“戻る”のは間違いないでしょう」

