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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
なぜ高校野球の逸材が続々「プロ回避」を選ぶ? 進学、就職…“ドラ1クラス”まで 「ふたこと目には、育成、育成って…」監督が明かしたホンネ
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/07/30 11:07
甲子園春夏連覇を狙う横浜高校で主将を務める阿部葉太。プロスカウトからの評価も高い逸材だが、進学希望だという
本人が「なぜかとんでもなく飛ぶんです」とつぶやく人間ばなれした長打力に、大舞台ほど本領を発揮できる勝負度胸が何より頼もしく、高校球界では、横浜高・阿部葉太と双璧のバットマンと見ていたから、私の中の「高校生打者トップ2」が今年のドラフト戦線から消えたことになる。こちらのほうは、本人からの自己申告だったから疑いようもなかった。
そのあとも、逸材球児たちの「進学希望」は次々と続くことになる。
コントロールはこれから勉強でもすでに150キロをクリアして、俊足・強打も兼備する滝川高(兵庫)・新井瑛太投手(180cm82kg・右投左打)は、1年先輩で4番をつとめて同じアスリート系逸材球児だった中村俊瑛が今春早稲田大進学の道を選んでいるから、そんなこともあろうかと思っていたが、浜田高(島根)・山田玲投手(178cm82kg・右投右打)まで進学だというじゃないか。
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日本海で泳いで培った全身のバネが柔らかくしなって、12時の角度から投げ下ろす快速球はアベレージで145キロ前後。スライダー、スプリット、チェンジアップなど5種類の変化球を操れるが、ここ一番では、あくまでも鍛えて磨いた速球勝負。体が出来てきたら、未来予想図は千賀滉大(メッツ)。プロでエースにもなれる超の付く逸材だと見ていた。
なぜ有望株が「高卒プロ回避」を選ぶのか?
快腕・剛腕を数多く輩出している大学を志望していると知って、それなら……と思ったが、それにしてもあとから後からこうも続くものかと、有望球児たちの「大学進学を考えています」発言が発信されたものだ。
ではなぜここへきて、逸材たちは“プロ回避”を選び始めたのか――? スカウトの方や監督さんに話を聞くと、そこには「根深い理由」があるようだった。
<次回へつづく>

