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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
なぜ高校野球の逸材が続々「プロ回避」を選ぶ? 進学、就職…“ドラ1クラス”まで 「ふたこと目には、育成、育成って…」監督が明かしたホンネ
posted2025/07/30 11:07
甲子園春夏連覇を狙う横浜高校で主将を務める阿部葉太。プロスカウトからの評価も高い逸材だが、進学希望だという
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
今年も8月に開幕する甲子園の代表校が出そろった。例年のように熱い戦いが期待される一方で、近年は有力選手にこれまでと異なる“変化”が見られるという。それがドラフト上位クラスの「プロ回避」だ。では、なぜその傾向に拍車がかかっているのか。監督、スカウト……関係者に聞いた現代球児のリアルとは?《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
そもそもの事の起こりは、この春、4月。高校野球春季大会の保土ヶ谷球場(神奈川)だったと思う。
報道関係の方たちと、神奈川県内の逸材たちについて、あれこれ雑談を交わしていた時だ。
横浜高・阿部葉太外野手(179cm85kg・右投左打)のバッティングの非凡さについて、私が熱く語っていた内容はこうだ。
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なんの偶然か、昨年の春からの1年間で、横浜高の試合を10試合近く見る機会があり、その中で、1番ないしは3番を打った阿部葉太選手は、すべての打席で、初球もしくはファーストストライクをジャストミートで外野に弾き返し、そのほとんどをヒットか長打にしてみせた……というものだった。
故に、今年のドラフト候補の高校生打者でトップランクであろう!と結論づけた時、輪の中にいた人のひと言に驚いた。
「でもさぁ、阿部って進学でしょ?」
なんでも、横浜高野球部から初めての進学先とかで、学校関係者も本人もとても喜んでいるというサイドストーリー付きなのだから、「阿部選手進学説」の信憑性もひとしおだった。
相次ぐ高校生強打者の「進学希望」
そこから少し経った頃、今度は、小松大谷高(石川)・田西称内野手(180cm94kg・右投左打)の「進学希望」が伝わってきた。
昨年夏の甲子園、明豊高戦での右中間弾丸ライナーの三塁打、そして、大阪桐蔭高を倒した時のセンター前の2安打。

