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甲子園の風BACK NUMBER
なぜ最強世代の浦和学院は“公立校に敗れた”のか? 34歳監督が語る「イヤな予感した」魔の5回裏に“守備タイム2回”…相手選手は「99%負ける」
posted2025/07/30 11:06
すでに新チームが指導している浦和学院野球部
text by

樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph by
Yuki Kashimoto
浦和学院「最強世代」が埼玉大会3回戦で敗退――森大監督(34歳)が挙げた2つ目の敗因は、5回までチャンスを作りながらも得点を奪えなかったことだ。
「今年のチームは『超攻撃型』のチームで3番垣内凌、4番藤井健翔という長距離ヒッターが活躍して点を取るのがカラーでした。今回みたいな1点を取りに行く場面で、例えばスクイズとか、内野の間を転がすなど、小技を使える場面がなかった。序盤の攻めがうちの課題だったので、嫌な流れでした」
なぜタイム2回?「イヤな予感」
3つ目は、5回裏の4失点だ。2死一・二塁から8番にピッチャー強襲の内野安打を打たれて満塁。続く9番に内角直球をセンターへ運ばれて3点を失った。
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「8番がピッチャーバッター、9番も警戒してなかったので、下位を抑えて次の回で返すつもりでした。だから単打で1点はOK、セカンドランナーは返さないようにしようと。でもたしかに……9番の打席、1球目ボールのあと、ちょっと嫌な予感がしたんです。だからそこで、この回2回目の守備タイムを取りました。ただ指示が徹底できていなくて、センターが定位置前になりきれていなかった。それに打球判断も難しい球だったんです。結果、飛び込んで後ろにそらした(記録は三塁打)。指示を伝えるジェスチャーが足りなかった。『嫌な感じ』が当たってしまいました。夏の勝負で4点以上のビハインドは難しい。あらためて痛感しましたね」
じつは名監督だった“滑川総合の奇策”
この日はセンターからホーム方向に強風が吹いていた。「風速7、8メートルはあったと思います」(森監督)。浦和学院の強打線も分断され、普段なら外野手の頭を越えていく打球が、強風で何度も押し戻された。滑川総合の瀧島達也監督は1998年、久保田智之(元阪神)を擁して甲子園出場を果たした公立の名監督。7回表からは「秘密兵器」として用意していた背番号2の正捕手・篠崎陽輝をマウンドに送る”奇策”も成功し、その篠崎が「99%負けると思っていた」試合が大金星となった。
じつは今年の浦和学院は、練習試合とはいえ、健大高崎や横浜と好ゲームを演じていた。全国大会優勝候補、それもフルメンバーを相手に勝った試合も多々あったのだ。

