甲子園の風BACK NUMBER

「PL学園の生徒数…わずか39人に」高校野球“消えた名門”PL学園の今…聞こえた校歌のメロディ、封鎖されたPL花火大会の臨時改札「なぜ衰退したのか?」 

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柳川悠二

柳川悠二Yuji Yanagawa

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posted2025/07/29 11:04

「PL学園の生徒数…わずか39人に」高校野球“消えた名門”PL学園の今…聞こえた校歌のメロディ、封鎖されたPL花火大会の臨時改札「なぜ衰退したのか?」<Number Web> photograph by NumberWeb

梅雨が明けたばかりの7月上旬にPL学園を訪れた

校歌のメロディが聞こえてきた

 時計の針が8時を指した時、学園の校舎からは校歌のインストゥルメンタルが流れ始めた。自然とあの歌詞を口ずさんでしまう。PLの校歌ほど愛された校歌はなく、自分が卒業した高校の校歌は忘れても、今もってPLの校歌を覚えている高校野球ファンは多いはずだ。

♪燃ゆる希望に いのち生き 高き理想を 胸に抱く

♪若人のゆめ 羽曳野の 聖丘清く 育みて

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♪PL学園 永久に 向上の道 進むなり

♪ああ PL PL 永遠の学園 永遠の学園

作詞・湯浅竜起 作曲・東信太郎

 かつてPL学園の野球部には、野球にいのちを賭すほど希望に燃えた15歳が全国より集まり、羽曳野の丘陵地帯で汗を流して気高き理想郷である甲子園を目指した。永久(とこしえ)に続くと思われたPL野球部の黄金期もいつしか終焉を迎え、2000年代に入ってからは相次いで暴力事件が発覚し、衰退していく。

生徒数「39人」、花火大会も中止

 野球部を物心両面から支えてきたPL教団も信者数の激減に苦しみ、それにリンクして信者の2世・3世が通うPL学園の生徒数も減少の一途を辿った。

 現在、PL学園の生徒数は3学年あわせて39人しかいない。中学の生徒数はそれよりも少ない約35人。野球部が強かった頃は、もともとの信者ではなくとも、両親ともに入信すれば入学が許されていた。だが、現在は信仰心の厚い信者しか入学を許されていない。永遠(とわ)の学園とうたわれた学校はもはや、廃校の危機にある。野球部の復活を熱望する声はいまだ根強くとも、その可能性は限りなくゼロに近い。

 そして大阪の夏の風物詩だった花火大会も、2019年を最後に開催されていない。中止となった表向きの理由は「コロナ禍」だが、コロナ禍が明けても再開する気配はない。財政難に苦しむ教団からすれば、莫大な費用のかかる花火大会を中止する都合の良い口実となったことだろう。

 いったいPL教団、そしてPL学園はなぜにここまで衰退してしまったのか――。

〈つづく〉

第2回:『「先輩がパイプ椅子で後輩を殴打」PL学園野球部で暴力事件、出場停止も…甲子園優勝7回の最強野球部で何が? 名門の崩壊がはじまった日』編へ

#2に続く
「先輩がパイプ椅子で後輩を殴打」PL学園野球部で暴力事件、出場停止も…甲子園優勝7回の最強野球部で何が? 名門の崩壊がはじまった日
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