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野球善哉BACK NUMBER
王者・大阪桐蔭を決勝で撃破…「継投で乗り切れた」東大阪大柏原の元プロ監督と「エースに託した」高校野球の名将が明暗を分けたワケは?
posted2025/07/28 17:30
大阪桐蔭を破って2度目の甲子園出場を決めた東大阪大柏原の土井健大監督。同校は2011年の初出場時も大阪大会決勝で大阪桐蔭に勝利している
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
SANKEI SHIMBUN
夏の全国高校野球選手権大会、大阪大会決勝戦。王者・大阪桐蔭はタイブレークの末に敗れて甲子園出場を逃した。昨夏の甲子園での2回戦敗退から、捲土重来をめざして作り直してきたはずのチームに何があったのか。その内側を現地で探った。〈全2回の2回目/はじめから読む〉
キャプテンでエース。大黒柱の大阪桐蔭・中野大虎は疲弊し切っていた。
10回表のマウンドを降りる時には足を引きずるほどで、彼の体が限界を超えていたことは容易に想像できた。前日101球を投げ、この日は4回から途中登板して124球。精魂尽き果てた様子だった。
全国高校野球選手権大阪大会の決勝戦は、延長タイブレークの末に東大阪大柏原が王者・大阪桐蔭を下したが、その背景には投手マネジメントも大きな要因としてあった。
エースに託すか、細かく展開に対応するか
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「先発の森(陽樹)は攻めたピッチングが出せていなかったので、試合の流れ的に中野を投入して流れを変えたかった。キャプテンらしいピッチングをしてくれたと思います」
大阪桐蔭・西谷浩一監督はそう話した。百戦錬磨の名監督は、かつても、こうした采配をすることが多かった。エースに命運を託し、試合の流れを変えるために投入するのだ。
一方、東大阪大柏原の指揮官、土井健大監督の投手交代には思い切りがあった。
選手を信用しているのか、自身の見立てに裏付けがあるのか。肝が据わった采配、というのが今大会を通しての印象だった。
「試合前にも想定はしています。こういう展開になったら、お前な、こういう時はこっちな、みたいな。その中で試合を見ながら、この順番の方が相手が嫌がるとか、この球種を持っている投手の方が抑えられる、などを考えながら決めていますね」

