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甲子園の風BACK NUMBER
偏差値70超、国公立大合格者は100人以上…“田舎の公立進学校”野球部が激戦区・兵庫で「ベスト4進出」の衝撃 監督が明かした“躍進のワケ”は?
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沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2025/07/28 11:00
準決勝で東洋大姫路に敗れた小野高校。国公立大の合格者が100人を優に超える県立進学校が、なぜこれほどの躍進を見せたのだろうか
それでも意地は見せた。0-6と劣勢だった4回。二死走者なしから3連打などで一気に3点を奪い、優勝候補を追い上げた。三塁側のスタンドからは割れるような手拍子と大歓声が響く。
「この大会は2アウトから粘って点を取る場面が多かったんです。今日は……もう(点を)返していくしかないんでね。1点でも2点でも返して、とにかくバットを振っていかないと勝負にならないんで」
3点差まで詰め寄った。だが、この灼熱の太陽の下での試合。ここまで全5試合に登板してきた主将でエースの本山翔のスタミナも限界近くまで達していた。
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「この試合はもう本山に託すつもりでした。本山は元々キャッチャーなんです。経験が浅い中でエースとしてキャプテンとしてチームを引っ張ってきてくれたので。最後は意地になって真っすぐで押してしまいましたが、最後までよく投げてくれました」
敗因は…「監督も含めた経験の差」
“奮投”のエースをねぎらい、指揮官はこう続けた。
「応援にも乗せられた部分もありますけど、選手たちはよく頑張ってくれました。向こう(東洋大姫路)も負けられないっていう意地もあったでしょうしね。意地の違いもあったと思います。ウチはミスも出ましたし、これはもう(東洋大姫路との)監督も含めた経験の差でした」
それでも強豪ひしめく兵庫で、公立進学校がベスト4まで進出した価値は非常に大きい。他の同様の高校にも大きな力を与えたことだろう。
実は今回の躍進の陰には、2年前に起こった「ある出来事」の影響がある。
<次回へつづく>

