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甲子園の風BACK NUMBER
「私学の壁を超えたい」兵庫の“偏差値70超”公立校が本気で目指した甲子園の結末は?…ベスト4にも指揮官の本音「『公立だからスゴい』では悔しい」
posted2025/07/28 11:01
クラスによっては偏差値70を超える兵庫の公立進学校である小野高校。それでも北垣賢高監督は「私学の壁を越えたい」と本気で甲子園を目指した
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沢井史Fumi Sawai
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Fumi Sawai
夏の甲子園を目指す各地方大会が佳境を迎えている。代表校が出そろいつつあるなか、激戦区・兵庫で異例の快進撃を見せたチームがある。それがベスト4まで進出した小野高校だ。同校は偏差値70を超える公立の進学校。スカウト面や立地の不利をものともせず躍進を見せたのだが、そこには2年前にあった「ある出来事」の影響があったという。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
実は小野高校は2023年のセンバツの際、前年の秋大会でベスト8に入ったことが評価され、近畿地区の21世紀枠推薦校に選出されていた。過去に兵庫から推薦された高校はそれまですべて選出されており、この時もすわ「同校初の甲子園初出場か」と周囲は色めき立った。
だが、本選考では「まさか」の落選。念願の大舞台に立つことはできなかった。
以降、夏の県大会は2年連続、2回戦で敗れていた。小野高校を率いる北垣賢高監督はこう振り返る。
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「7年前の西兵庫大会ベスト4以降、なかなか結果が出ない時期も続いたんですけど、それでも子どもらは一生懸命練習についてきてくれて。ここまで連れてきてくれたんですから、本当にありがとうとしか言えないですよね」
「小野だったら甲子園を目指せるかも…」
一方で、現3年生はその“センバツ選考漏れ”した年の春に小野高校に入学してきた選手たちだ。
3年生は12人。当時、吉報は届かなかったが、ほとんどの選手が「小野だったら甲子園を目指せるかもしれない」と猛勉強を重ねて小野高の門をくぐってきた。センバツ選考の俎上に上がっていたことで、甲子園を「夢」ではなく「現実的な目標」として捉えたうえで入学してきたのだ。

