- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
偏差値70超、国公立大合格者は100人以上…“田舎の公立進学校”野球部が激戦区・兵庫で「ベスト4進出」の衝撃 監督が明かした“躍進のワケ”は?
posted2025/07/28 11:00
準決勝で東洋大姫路に敗れた小野高校。国公立大の合格者が100人を優に超える県立進学校が、なぜこれほどの躍進を見せたのだろうか
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
夏の甲子園を目指す各地方大会が佳境を迎えている。代表校が出そろいつつあるなか、激戦区・兵庫で異例の快進撃を見せたチームがある。それがベスト4まで進出した小野高校だ。同校は偏差値70を超える公立の進学校。スカウト面や立地の不利をものともせず躍進を見せたのだが、果たしてその“奇跡の公立校”の正体とは?《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
試合終了後の両校のエール交換の歓声と太鼓の音が響く中、小野高校を率いる北垣賢高監督は、目を赤くしながらベンチ前で円陣を組んだ選手たちに語りかけた。
「ありがとうな」
3-13。6回コールドで敗戦となった準決勝の東洋大姫路戦。
ADVERTISEMENT
ノーシードから挑戦し続けた小野高校ナインの夏の終わりを告げるひと言でもあった。それでも三塁側のスタンドに陣取った学校から駆け付けたバス5台の一般生徒をはじめ、OB・関係者であふれた大応援団は、最後まで奮闘した選手たちに大きな拍手を送っていた。
毎年、国公立大に100人以上の合格者
兵庫県中南部にある小野市にあり、毎年東大・京大はもちろん大阪大、神戸大など国公立大に毎年100人以上の合格者を輩出する県内屈指の公立進学校だ。
公立校であることに加えて、その立地も相まって私立の強豪校のようなスカウトができないハンデを抱える中、近年では7年前の第100回大会・西兵庫大会でもベスト4まで進出した実績を持つ。
「7年前もね、(西兵庫大会の)準決勝で負けて、夏は5、6試合目がしんどくなることは分かっていました。だから夏の5試合目、6試合目を乗り切るチームを作ろうと思ってやってきたんです。今日は今までやってきたことを見せつけようと思っていましたが、最後は東洋大姫路に力の差を見せつけられて……。夏、甲子園に行くってホンマに大変なんやなぁって。あらためて感じました」
時折声を詰まらせながら、指揮官は悔しい思いを絞り出した。

