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日本代表DF高井幸大20歳「トッテナム10億円電撃移籍」は日本サッカー株価アップの好循環…じつは「J→5大リーグ直行が急増」貢献したMFとは
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHotspur FC/REX/AFLO
posted2025/07/12 11:05
プレミアの名門トッテナムへ加入した高井幸大。“多くの日本人が知らない”その価値の大きさとは(提供写真)
ブラジルなどでは選手の移籍をスムーズにさせるために、代理人が暗躍して、年代別代表に選手をねじ込むケースもあると言われるほど――ステップアップに向けての実績作りとしてキャップ数は大事な要素だ(もちろん、高井はそうしたダーティーなケースとは無縁だが)。
そうした起用法は森保監督オリジナルのアイデアというよりも、元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニの影響を受けていると見る。
実はザッケローニ監督は就任当時、候補選手の名簿を作ってもらい、2014年W杯時の年齢を逆算して、キャリアのピークが過ぎそうな選手については“映像などで十分チェックすることもなく”候補から外していったという。一部の関係者にはその決断が非情なものにも映ったようだが、予断を持たずに判断したということだろう。2018年W杯後に就任した森保監督は大幅な若返りを図っており、そこでもイタリア人指揮官の影響を受けていると見てよさそうだ。
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それ以上に特筆すべきは――ザッケローニ体制での吉田麻也と、現体制での高井の存在の類似性だ。
ザッケローニは吉田が大成するきっかけを作った。というのも日本代表監督就任時、吉田のキャップはわずか1試合だけ。その試合も2010年1月に行われたアジアカップ予選で、B代表とも呼べるメンバーだった。今で例えると、E-1選手権に1試合出場したくらいのイメージか。しかも、ザッケローニ就任直後、吉田は左足の中足骨の疲労骨折をして離脱していた状態だった。
にもかかわらずザッケローニは、吉田を2011年アジアカップの日本代表の中心に抜擢。信頼を示しながら吉田を起用し続けることで成長を促し、2022年のカタールW杯までの長期間、代表を引っ張っていく選手の礎を作った。
日本代表の歴史から学ぶ姿勢の強い森保監督なら、その経緯を念頭に入れているだろう。
高井の移籍が“日本サッカーの未来を変える”ワケ
ただ、今回紹介したいのは――高井や日本代表のプロセスよりむしろ、未来的な要素。高井のトッテナム移籍が、今後の日本サッカーのレベルアップを促すという話だ。
なぜ、日本サッカーの未来を変えるターニングポイントとなりえるのか。
それを理解するために、まずは現在5大リーグの1部に所属する選手のうち、Jリーグから直接移籍した選手がどのくらいいるのかを見ていこう(*選手の順番はTransfermarktの市場評価額の高い順)。


