核心にシュートを!BACK NUMBER
日本代表DF高井幸大20歳「トッテナム10億円電撃移籍」は日本サッカー株価アップの好循環…じつは「J→5大リーグ直行が急増」貢献したMFとは
posted2025/07/12 11:05
プレミアの名門トッテナムへ加入した高井幸大。“多くの日本人が知らない”その価値の大きさとは(提供写真)
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Hotspur FC/REX/AFLO
高井幸大(20歳)のトッテナムへの電撃移籍は、日本サッカーのレベルが上がったことだけを示しているのではない。それ以上に、日本人が知らない大きな可能性を秘めている。「スパーズ」の愛称で知られるユニフォームに高井が袖を通した事実は、今後の日本サッカーのレベルアップをさらにうながすことができる。大きな希望を抱かせてくれる移籍なのだ。
“J→直接プレミア”は戸田和幸以来22年半ぶり
一体どういうことか。本題に触れる前に、まずは日本サッカーのレベルが上がった点について説明しよう。
高井はJリーグからプレミアリーグのクラブへ直接移籍を決めた。これは3人目の快挙だ(三笘薫や板倉滉はプレミア勢加入と同時に、他国リーグへとレンタル移籍されたので含まず)。過去は2001年の稲本潤一(アーセナル)と2003年1月の戸田和幸(トッテナム)の2ケースだけ。今回の移籍はおよそ22年半ぶりの快挙となった。
ADVERTISEMENT
今回の移籍は高井の能力に加えて、192cmという恵まれた体格もプラスに評価されたはずだ。日本と比べてヨーロッパ諸国の平均身長は高いケースがほとんどではあるが、190cm以上あれば、それだけで評価は上がる。
ただ、今回のケースは高井本人の努力に加えて――日本サッカー界が積み上げた成果でもあった。
1つが、クラブレベルでの強化だ。川崎フロンターレのACLでの奮闘は、ヨーロッパの目利きが約10億円の投資(高井の移籍金は500万ポンドと報道されている)を安心して行なえる要因を増やした。クリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、かつてヨーロッパで活躍してきた選手たちと対峙したときに、高井がどれくらいのプレーができるのかを把握できたからだ。
“ザック時代の吉田麻也”と似ている森保Jでの高井
もう1つが、森保一監督の起用の成果だ。W杯最終予選初戦の中国戦でデビューさせ、その後もチャンスがあれば積極的に起用し続けてきた。
森保監督は、目の前の試合に勝つことと、日本サッカーの未来の発展につなげることの2つの基準を持って決断を下すと言い続けてきた。これまでの高井の起用では、後者の部分が大きかったはずだ。
それはなぜか。高井のキャップ数が、海外移籍の際に1つの評価項目となるからだ。


