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ソフトバンクにいた怪物17歳の衝撃…過酷な“韓国遠征”で大活躍していた GM・斉藤和巳が語る“なぜ3軍を韓国へ”? 記者が密着「ホテル到着は午前2時」
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2025/06/29 06:01
ソフトバンク3軍の韓国遠征に記者が密着した
そのスラッガーを相手に、背番号133の星野恒太朗(駒澤大→2023年育成5位)は空振り三振に仕留め、同158の赤羽蓮(霞ヶ浦高→2022年育成1位)は詰まった中飛に打ち取り、山崎琢磨(石見智翠館高→2021年育成7位)は3打席対戦して全て抑え2三振も奪った。今回は成功体験を得られたが、もし打たれてもその原因を考えて練習につなげられれば、それも大きな財産となる。
また、打者では現在高校3年生世代の17歳内野手、デービッド・アルモンテが9試合で4本塁打を放つ活躍を見せた。ソフトバンクは2022年シーズンから中南米の若手プロスペクトを積極的に獲得しており、ドミニカ共和国出身のアルモンテもソフトバンク契約時は16歳だった。昨季は年間を通じて2本塁打だったが、彼もまた豊富な実戦を経験する中で大きく力をつけており、ワールドクラスの選手に育つ予感を感じさせている。
過酷? 午前2時にチェックイン
「福岡に本拠地を置く土地柄、韓国はすぐお隣。プサンならば飛行機で1時間もかからない。キャンプ地の宮崎へ移動するのとさほど変わりません。ソウルまででも1時間半なので、飛行時間は福岡・羽田間よりも短いのです」(三笠GM)
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その一方で、現場から日本国内と異なることで食事面や宿泊環境、移動の不便さなどに苦労しているとの声が上がっている。辛いものが苦手でお腹を下した選手が実際にいたし、昨年は宿泊地から片道2時間半をかけて毎日球場に通ったこともあった。また、現場取材に赴いた筆者もナイター後に韓国南西部の都市・光州からプサンまでバスで移動したが、異国の地で午前2時にホテルにチェックインするというなかなか味わえない経験をした。
球団サイドもできる限りの改善に努めながら韓国遠征を毎年継続しているのだが、三笠GMはこのような思いも口にする。
「国際経験を積むことで見えるもの感じるものが豊かになります。そして、厳しい環境と向き合い、乗り越える力を養うのも韓国遠征の意義の一つだと考えています。オフ期間に海外のウィンターリーグに選手を派遣するのも同様の目的があります」
現場を預かる斉藤和巳3軍監督もまた、その考えに同調するように話した。

