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ソフトバンクにいた怪物17歳の衝撃…過酷な“韓国遠征”で大活躍していた GM・斉藤和巳が語る“なぜ3軍を韓国へ”? 記者が密着「ホテル到着は午前2時」
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2025/06/29 06:01
ソフトバンク3軍の韓国遠征に記者が密着した
同行した斉藤和巳の見解
「体は鍛えれば強くなるけど、精神的な強さは本人の努力以外に手に入れることができない。そういったところも『強く』ならないと、3軍にいる彼らは上に行くのは難しい」
ところで韓国遠征とは直接関係ないが、ソフトバンク3軍は今年、若手選手の心を育む新たな取り組みを導入している。
試合後のミーティングのやり方が変わった。ファームでは大抵どの球団も試合終了後にベンチに残ってミーティングを行っている。各担当コーチや監督がベンチに座る選手たちに向けて話をするのが一般的だ。
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しかし、ソフトバンク3軍の場合は首脳陣だけでなく選手も発言者となる。まず各ポジションに分かれてミーティングを行い、その中から代表者を1人選出する。<外野手→外野守備コーチ→内野手→内野守備コーチ→打撃コーチ→捕手→バッテリーコーチ→投手→投手コーチ→監督>といった具合に進められる。
変わったミーティングの光景
そして、斉藤3軍監督の発案であるルールが定められた。
「試合後のミーティングはどうしても『反省会』になりがちで、選手からもあまり言葉が出てこない。なので、自分が『その日できたこと』を言うようにしました。負け試合も同じ。それをやり始めた日も大敗した日でしたよ。選手たちも難しそうにしているけど、そこで考える力を養えばいい。それに負けた中でも全部が悪いわけではない。良い部分に気づいてそこを伸ばす。ただ短所から目を背けるのではなく、そこも把握して次につなげる。そうやって自分自身を伸ばしていってほしいと思っています」
これまでも育成選手が次々台頭してチームの根幹をなす戦力となってきた。あらゆるアプローチから、技術のみならず精神面の成長も促すことで「育成のソフトバンク」は成り立っているのだ。

