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野球クロスロードBACK NUMBER
長嶋茂雄が思わず「キヨシ、これが本当の重圧なんだな…」中畑清が振り返る“代表監督”秘話…極秘入院→脳梗塞に倒れ「長嶋さんは精根尽きていた」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/06/25 11:02
2004年のアテネ五輪に向けて日本代表を率いた長嶋茂雄監督と中畑清ヘッドコーチ。長嶋監督の急病もあり、途中からは中畑が監督代行に
野球の伝道師として、自身が監督となること。そして、長嶋の志を継ぐことだ。
「監督をやってみたいとはずっと思っていたからさ。長嶋茂雄の存在を受け継ぐなんて大それたことは考えてないけど、『オヤジの志は受け継いで、野球界のために死ぬまで頑張りたい』っていう気持ちはあるな」
アテネオリンピックから7年後の11年。懸命なリハビリによって活動を再開していた長嶋から、中畑は思わぬ啓示を受けた。
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「ここの監督はキヨシ、お前しかいないよな。お前しかいないだろぉ!」
DeNAが横浜ベイスターズの新たな親会社に決まると長嶋から真っ先にそう言われ、さすがの中畑も目が点になった。
「まだ高田さんがGMに決まってない段階でそれだったからね。『なんの意図があって言ってるのかな?』って思ったけど、『お前しかいない!』ってあの言葉は忘れられないな。先見の明があるというか、やっぱり人にはない何かが見えてる人なんだよなぁ」
11年12月。GMとなった高田繁から誘われた中畑は、DeNAの初代監督となった。
監督なんて二の次…一番は「ファン」というDNA
就任1年目の12年は、優勝した巨人と41ゲーム差、5位の阪神にも9.5ゲーム差を離されるぶっちぎりの最下位。そんな苦境においても、絶好調男には薫陶を受け続けた長嶋の志が根付いていた。
「監督の意志なんて二の次、三の次なんだよ。一番は『ファンは何を求めているのか?』だから。そのために俺は、どんなに連敗が続いてもインタビューは受けたし、ファンの前に立ち続けるよ。『あの監督、どうしようもないな』って批判されても全然いい! チャレンジし続けるのが大事だから。そうさせてくれるのはオヤジの存在があるから。俺の上にはいつも長嶋茂雄がいるんだよ。DNAは受け継いでる。DeNAの監督だからさ!」
とっておきのジョークで笑い飛ばしていた中畑は、チームを率いた4年間で一度もAクラスへと導くことができなかった。
その一方で、中畑が見出した筒香嘉智や山崎康晃、桑原将志といった次代の若手たちがその後のチームを支え、DeNAは少しずつ勝てるチームへと変貌を遂げていく。そして昨年、チームは26年ぶりに日本一となった。
長嶋茂雄の志を受け継ぎし初代監督は、「チームを変えた男」と呼ばれている。
<「地獄の伊東キャンプ」編につづく>

