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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「長嶋さんの服は亜希子さんが選んで…」長嶋茂雄夫妻と2週間の“仕事旅行”…元フジテレビアナが見た「長嶋さんと亜希子さんの仲睦まじい関係」
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生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2025/06/19 11:02
巨人監督時代の長嶋茂雄
「ニューヨークでは、出店していた吉兆にお願いしてお弁当を届けてもらっていました。ホテルに戻ってから“反省会”と称して、飲み、語り合ったのが懐かしい思い出です。本当に貴重な時間でした。無事に中継も終わり、帰国して一週間ほど経ってから、西麻布のフレンチレストランで長嶋さんの主催で、スタッフ全員を招待してもらい、慰労会を開いていただきました。帰り際にはプレゼントまで頂戴して……。エルメスのネクタイでしたが、亜希子さんが選んだものだったと思います」
「“どうも久しぶり、イワサキさん”って(笑)」
その後、岩佐さんは1984年にスポーツ部へと異動して実況を離れ、1988年にWOWOWへ出向し、再び実況席に座ることになる。そんな経歴をたどった岩佐さんは、1992年にまたもニューヨークで長嶋と再会する。
「私はWOWOWのアナウンサーとして、テニスの全米オープンの実況でニューヨークにいました。長嶋さんはTBSのゲスト解説として来ていたんです。事情としては、当時、全米オープンとゴルフのマスターズの放映権の権利を持っていた会社があり、TBSはマスターズを絶対に放送したいので、付き合いでと言っては語弊があるかもしれませんが、全米オープンも中継していたんです。そこで長嶋さんをゲストでブッキングしていました」
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開幕前日、岩佐さんは長嶋さんと久しぶり挨拶を交わす。WOWOWとTBSの控室が隣り合っていたからだ。
「長嶋さんが右手を差し出しながら、『どうも久しぶり、イワサキさん』って(笑)」
名前を訂正することは出来なかったという。相手は、なんといってもミスターなのだから。
「間違いなんて、どうでもいいんです。そんなことより、私のことを覚えていてくれたこと、それがうれしくて。会話の中にも相手の名前を入れる。これも亜希子さんが長嶋さんに勧めていたことだったと思います」
いま、86歳を迎えた岩佐さんは、世界のスーパースターを間近で見てきた。
「サッカーも担当していましたから、ジーコ、ロナウド、たくさんの選手たちに会いました。テニスでいえばピート・サンプラス、アンドレ・アガシ、ロジャー・フェデラーの現役時代を間近で見てきました。そんな世界のスーパースターたちと比べても、長嶋さんの持つ輝きは、劣るどころか、上回っていましたよ」
長嶋茂雄。戦後日本が生んだ、最高のスーパースター。
「1981年のワールドシリーズ、長嶋さんと過ごしたあの2週間は、私にとっての宝物です」
<全2回/《引退試合のウラ側》編から続く>


