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長嶋茂雄“父の顔”「一茂の友達か? みんなで中華行こう」長嶋一茂の友人・武田一浩が語る、“一茂のお父さん”「大学生に高級フカヒレをおごった夜」
posted2025/06/11 17:06

1993年、巨人にトレード移籍した長嶋一茂。宮崎キャンプで一茂を見守る長嶋茂雄監督
text by

遠藤修哉Naoya Endo
photograph by
KYODO
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武田一浩がミスタープロ野球・長嶋茂雄と出会ったのは、明治大学2年生のときだ。縁をつないだのは、長嶋の長男・一茂である。
「オレは1965年生まれで、王貞治さんが大活躍する姿に憧れて野球を始めた世代。選手としての長嶋さんについては晩年しか見られていないから、『長嶋茂雄が凄い』と言われてもピンと来ない。むしろオレにとっての長嶋さんって、『一茂のお父さん』なんですよ」
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武田と一茂は、互いに1984年入学で切磋琢磨し、かたや明治大学のエース、かたや立教大学の四番打者に成長。東京六大学野球をリードし、1987年には、日米大学野球選手権大会の全日本メンバーに選ばれてアメリカに一緒に行ったこともある。
焼き鳥屋で「長嶋さんが座ってる席なんですよ」
「2人とも大学1年生からベンチに入っていたし、話す機会はあるんですよ。最初の話はたしか、リトルリーグで対戦したときのこと。オレは調布、一茂は目黒東のチームに入っていて、子どもの頃に試合をしたことがあり、そういうリトル時代の話から始まって、会えば何か喋るような仲になりましたね。あいつは甘いものが大好きだから、横浜の元町までパフェを食べるために連れて行かれたことも。オレは全然興味ないから、『うまいだろ?』って言われても返事に困ったことを覚えてます」
六大学野球では、リーグ戦の最終カードの後に閉会式が行われるため、その日に試合がない他大学も含めて、全選手が神宮球場に集まる。ここで顔を合わせた武田と一茂には、お決まりのルートがあったという。
「閉会式の後は、一茂の家の近くの田園調布の焼き鳥屋さんに行くのが、いつもの流れ。そこは一茂というか長嶋家が常連で、『そこ、長嶋さんがいつも座ってる席なんですよ』なんて教えてもらえるようなお店でしたね」
長嶋茂雄「一茂、みんなで中華行こうか」
大学2年の1985年秋季リーグ戦の後。その日は、焼き鳥店が開く時間まで、武田は田園調布の長嶋邸に上がり込み、一茂の部屋で過ごしていた。