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「カマダ~、とトイレで中年サポが手を」「交代時、総立ち拍手」英国ファンが鎌田大地を称えた瞬間…現地観戦で目撃“パレスで愛されるダイチ”
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大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byGetty Images
posted2025/06/15 17:02
クリスタルパレスの鎌田大地。現地での愛され度は?
ゆったりとした足取りでピッチを出る日本人選手を迎えたのは、攻守に躍動したことを称えるスタンディングオベーションだった。1年を通じてレギュラーとはいかなかったが、現地のサポーターにも完全に認められているようだ。パレスとの契約は2年というが、来季も大いに期待できるだろう。
1対1のドローのまま、主審の終了を告げるホイッスルが響いた。個人的には観戦した2試合とも引き分けとなり、やや不完全燃焼とはいえ、大満足の2日間となった。寒さに震えながら帰る道中、「やっぱり来てよかった」と心から思えた。
2ケタ得点の三笘、34試合出場の鎌田とも見事だけに
シーズンを終え、ブライトンは8位、パレスは12位となった。三笘は10得点、4アシスト。鎌田も34試合出場は見事だし、何より来季につながるパフォーマンスを披露した。来季もヨーロッパで活躍を見せれば、アジア最終予選と同様に、来年の北中米W杯でも日本代表のユニフォームをまとった2人を見ることができるだろう。
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これを読んでいる人の中には、一生に一度でいいからワールドカップを生で観戦したい、ヨーロッパのスタディアムで日本人選手を応援したい、と思っている人もいるだろう。
サッカーを生み育んだのは、いうまでもなくヨーロッパだ。だから一度は欧州でサッカーを観るべきだと思う。そして多くの選手が目標にしているワールドカップも。もちろんJリーグは最高だ。だが両方を見比べることで視点が広がり、よりサッカーの深みや面白さに気づくことができるのだ。
仕事、家庭、金銭、健康面などで難しいという方もいるだろう。しかし現代はよほどの事情がない限りは、行ける。酷な言い方かもしれないが、行けないのではなくて、本気で行こうとしていないだけだ。先に書いたように面倒事、心配事は出てくるが、海外旅行の手配は今やスマートフォン一台で完結する。大雑把な物言いをすれば、パスポート、クレジットカード、スマホがあればほとんどのことはクリアできるのだ。サラリーマンだって昔よりは休暇の取りやすい体制が増えただろう。体の不自由な人も、スタディアムには車椅子専用の席もあるし、特にヨーロッパでは空港をはじめ、あらゆる場所でヘルプするシステムが確立されているのを目にする。
断言する。現代を生きる特権は、個人で世界中を旅行できることだと。サッカーに限らず、物事は真剣になればなるほど面白い。本稿を読んでくださったあなたが、海外でも素晴らしいサッカーライフを満喫されることを、心から願う。〈第1回からつづく〉


