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「カマダ~、とトイレで中年サポが手を」「交代時、総立ち拍手」英国ファンが鎌田大地を称えた瞬間…現地観戦で目撃“パレスで愛されるダイチ”
posted2025/06/15 17:02

クリスタルパレスの鎌田大地。現地での愛され度は?
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph by
Getty Images
席、狭っ。おまけに目の前は太い柱
狭っ。
クリスタル・パレスのホームスタディアム、セルハースト・パークの座席に着くと、膝が前の座席につかえてしまった。両隣にも接触しそうで、肩をすくめて身を納める。狭い空間で観戦することで集中力や没入感を高める効果があるというが、それにしても狭いよ。
しかも不運なことに、私の席の前には太い柱が屹立しており、視界を遮られていた。100年以上前に建てられたスタディアムだからユニバーサルデザインなんてものは存在しなかったのはわかるが、これじゃあゴール前の攻防を見るのに邪魔だぜ。地元のサポーターは座席の良し悪しを熟知しているだろうが、旅行者にはわからないよ。
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途方に暮れたが、試合が始まってすぐにこの問題は解決した。前方に大量の空席があり、同じ境遇の人たちがドンドン動き始めたのだ。パレス民族大移動! またもやコバンザメ作戦を発動させる。よし、これで快適だ。
日本人は指定された席を勝手に移動することに抵抗がある人も多いだろう。だが2025年5月5日の対ノッティンガム・フォレスト戦はこの日だけなのだ。
今日という日は二度とこない。これも私の大事な人生訓である。
「カマダ!」現地サポからの声が大きい
キタ! 鎌田が先発だ。これで公式戦3試合連続スタメンである。ドイツ、イタリアで活躍した後、イギリスに新たな挑戦を求めた男。鎌田の名前が呼ばれ、周囲のサポーターが歓声を上げると、とても誇らしい気持ちになった。
鎌田は開始からピッチを走り続けて緩めることがない。中盤の要となり、短いタッチでボールを前に運ぶ。激しいぶつかり合いも厭わない。守備に攻撃に奮闘していた。