核心にシュートを!BACK NUMBER

「高3以来じゃないですかね」キャプテン鎌田大地と「ポストを蹴って悔しがった」鈴木唯人が…じつは“負けた豪州戦”で見えた日本代表の進化 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph byRobert Cianflone/Getty Images

posted2025/06/10 06:01

「高3以来じゃないですかね」キャプテン鎌田大地と「ポストを蹴って悔しがった」鈴木唯人が…じつは“負けた豪州戦”で見えた日本代表の進化<Number Web> photograph by Robert Cianflone/Getty Images

オーストラリア戦でキャプテンを務めた鎌田大地。試合は負けたものの、今後につながりそうなプレーも垣間見えた

 鎌田らしくないパスミスは普段とは異なり、スプリントを繰り返したことによる疲労の影響もあったのかもしれない。試合後に、鎌田はあのシーンを「自分のいらないパスミス」と反省した。

じつは“日本代表の進化を感じさせたシーン”とは

 ただ、この試合で今後の日本代表の進化を感じさせたシーンは、後半ではなく、前半28分にあった。その場面を簡単に振り返ろう。

 佐野が相手の右ボランチの選手を引き付けつつ、鎌田から来たパスをダイレクトで町田に落とした。そして、相手ボランチが佐野に引き付けられてできた左サイドのスペースに、町田がパスを送る。すると、右シャドーを任せられながら、左サイドにポジションをとっていた鈴木唯人がそのスペースでパスを受けて、反転する。

ADVERTISEMENT

 鈴木は60m近くドリブルで運び、ペナルティエリアにさしかかるところでシュートを放ったものの、ボールはゴール右隅にそれた。

〈鈴木がシュートを外した〉
〈鈴木は左にいた俵積田や、右前にいた大橋祐紀にパスを出すべきだった〉

 このシーンは、こんな感じで片付けられてしまいがちである。

 しかしそこには、日本代表の未来を変えられそうな2人の若者の、可能性を感じさせる判断とプレーがつまっていると言える。

シュートを外して悔しがった鈴木は何を考えたか

 まずは鈴木である。

 実は鈴木はこんなことを考えていた。

「鎌田選手が落ちることによって、あそこのスペースが開くことは、最初の方からわかっていたので。そこで数的優位ができるんじゃないかと……」

 右シャドーの位置にいた鈴木が左サイドに来ているのは偶然ではない。意図したプレーだったのだ。その結果としてフリーでパスを受けて前を向けた。そこからドリブルで運び、ペナルティエリアにさしかかるところでスピードを落とし、ゴール右上に突き刺すイメージで右足を振った。

 シュートが外れた直後、ボールポストを蹴り上げてまで悔しがった。それはなぜか。あれは鈴木の得意とするゾーンからのシュートだったからだ。鈴木はこのように振り返る。

【次ページ】 ハーフタイム、名波コーチと2人で話し合ったこと

BACK 1 2 3 NEXT
#森保一
#鎌田大地
#佐野海舟
#鈴木唯人
#町田浩樹
#北中米W杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ