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「宮崎敏郎、佐野恵太を抜擢」「曜日別勝率まで分析」ラミレス前監督がDeNAを強くできたわけ「データ重視、決断は変えない“ガンコ”ですね」
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村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNanae Suzuki
posted2025/06/10 11:00
暗黒時代だったベイスターズを勝てるチームに育てたラミレス。その監督哲学、奇策の真実、今季のDeNAまでを語った
カントクは本当に孤独な職業
「ハハハ……そんなこともあったね。月曜日のハマスタは勝率も悪いし、阪神戦では、(エドウィン・)エスコバーの防御率も5点台をオーバーしたり、他の中心選手も、その年はよくなかったことは、まさに数字が物語っていましたからね。
どこのチームでも、いろんなデータを持っていますが、当時のDeNAは、監督・コーチが試合前に共通して見る一般的なデータが、10ページくらい。当然、担当によっては、データのうち8枚は必要ないかもしれないですし、一方、カントクは決断をしないといけないので、僕はエクストラで4~5ページのデータをもらっていました。
それはコーチも必要なデータをアナリストに頼んで貰うことができたし、そこに対して僕が『あなたは投手コーチだから、このデータを見ておきなさい』と強制する立場でもない。彼らはプロのコーチとして、勝つために何が必要なのかを理解していたので、一人一人の責任でしっかりと準備はしてくれていました。
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ただ、『そのデータをどう見るか』、というのがコーチの方々の考え方です。僕は8:2でデータを重視していましたが、それが逆の人もいる。その考え方は彼らの特性だし、否定するものでもありませんからね。まあカントクって本当に孤独な職業です。人間は一人一人考え方が違うのが当たり前で、全員が組織と同じ考えであることは少ない。
なので、僕と逆の考えを持つ人と話をして合わないと、まあ人間であれば誰でも『ああ、監督は僕の考えをわかってくれない』という批判につながったり、それが周囲に悪い噂で広まってしまったりね。どこの社会でも、組織でも起きうることです。これはもう、うまくマネジメントしていくしかないんですよね」
〈つづく〉

