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「2018年になぜ失速?」ラミレス前監督の無念と今季のDeNAとの共通点「状況はあの時と似ている」「カントクは孤独。三浦さんは頑張ってほしい」
posted2025/06/10 11:02

2017年の日本シリーズ進出をはじめ、短期決戦にめっぽう強かったラミレス監督。今季のDeNAは2018年と似た状況というが…
text by

村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by
Nanae Suzuki
2016年、ベイスターズとしてはじめてのCSファーストステージで巨人を撃破。2017年、CSで阪神、広島を破り、日本シリーズに進出。2019年は阪神に敗れるが、ポストシーズンでの粘り腰、シーズンで14.5ゲーム差をつけられたチームも打ち負かすなど、短期決戦になるとラミレスは解き放たれた奇術師のように、自由自在にタクトを揮っているように見えた。
短期決戦での自信
「Yeah! まさにその通り。シーズン以上に短期決戦での僕の采配はもの凄く研ぎ澄まされていた。集中力であったり、それに対する準備や分析。選手起用、投手交代のタイミングなど、データで裏付けられたものに加えて、僕の集中力や感覚、すべてが噛み合ったのが短期決戦です。もっと詳しくお話ししましょうね。伝えたいことがあります。
戦略の部分——『誰をどう使うか』という話ですね。たとえば、CSファーストは3戦しかない。日本のやり方では、初戦にエースをぶつけるのが常識です。でも、僕はそうじゃない。初戦には、ある程度試合を作れる投手を置く。大事なのは2戦目と3戦目。ここで、自分が持っているベストの2人を投入するんです。
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だから、『なんでラミちゃんはエースを出さないんだ!』とか、『その起用はおかしい!』とか、何をやっても文句は言われる(笑)。でも、短期決戦は自分のスタイルが色濃く出る。僕は自分が信じる勝ち方を貫きました。
たとえば、2017年の対広島、シリーズを決めた重要な第5戦。先発は石田(健大)でしたが、2点を取られ調子が悪いと判断して、2回で、この年シーズンでは結果を残せなかった三嶋(一輝)にスイッチした時も、批判が来ましたね。でも三嶋は広島が一番嫌っていた投手。調子が悪ければ三嶋という戦略は、最初から頭にあったこと。三嶋が流れを止めてくれたことで、チームは逆転し、僕らは勝つことができたんです。覚えていますか?(笑)」
CS戦略の秘訣とは
ラミレスは短期決戦での戦略を、基本的にシーズンの延長と考えている。シーズンは3試合、3試合の連続であり、6試合中4試合を取れるような戦略がベースとなる。だが、短期決戦は1年間のすべてのデータがパンパンに出揃った状態。それでいて、ひとつの負けも許されない状況もありと、だからこそ、一番面白いのが短期決戦だという。