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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“3年連続最下位”中日ファンの本音「今日も0点。まあ、しょうがないかぁ…」中日ファン歴50年の“中華料理店”で聞いた変化「昔は他球団ファンが店内でケンカ」
text by

田中仰Aogu Tanaka
photograph byKYODO
posted2025/06/04 11:35
写真は2010年10月、中日のセ・リーグ優勝の日。ドラゴンズファンの聖地、中華料理店「ピカイチ」で
「昨年、4月に5連勝とかあったときは、お客さんから『優勝パレードはどこ走るの?』『MVPは誰になる?』とかいう話が聞こえてきたんだけどね。それもあって今年は慎重気味ですね。『今日も0点かぁ……まあ、しょうがないかぁ』みたいな。『くそっ』という悔しさをどうにか消化しようとしてますね。みなさん優しくなりました。長年のファンは耐えてる雰囲気もあるけどね」
2人の口ぶりは、中日が強くて荒々しかった昔を懐かしがるようでも、落ち着いた現在に安堵するようでもあった。
「カズキねえ…」「クリーンナップへのサインはいらないよ」
取材した日の夜、ピカイチで一人の中日OBが食事をしていた。「あの方に聞いてみるのはどうでしょう? 金山さんですよ」。兵頭さんがこっそり教えてくれたのだ。
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テーブル席で餃子を食べる初老の男性。1970年から中日に16年在籍し、引退後は中日監督時代の星野の専属広報を務めた金山仙吉だった。私は翌日から中日の試合取材があったため、現在の監督、井上一樹の評判を聞いてみた。
「カズキねえ」
多少の酔いもあったろう。ドラゴンズ後輩にひとつの注文をつけた。
「今年は負けてもいいんだよ。それよりもな、一つ言いたいことがある。チャンスのとき、打者がクリーンナップ(打順の3番から5番)でもサインを出すだろう? あれいらないよ。そこは選手を信じなきゃ。それだな、俺がカズキに言いたいことは。話は変わるけど、CSの制度、あれ変えなくちゃいかんなぁ。書いてくれんかな? リーグ3位なのに日本シリーズに進んでいくってのはどうも納得が……」
あの頃のピカイチはきっとこんな会話に溢れていたのだろう。


